■公務員試験過去問解説(行政法、行政不服審査法4)

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■行政不服審査法(地方公務員試験上級〔2007年〕)

行政不服審査法に定める不服申立に関する記述として、妥当なのはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

1) 不服申立は、行政庁の処分および公権力の行使に当たる行為に関し、私人が行政庁に対して不服を申し立てるものであり、書面提出の義務はなく、常に口頭で行うことができる。

2) 不服申立の対象となる処分には、法律に特別の定めがある場合を除き、公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収用、物の留置その他その内容が継続的性質を有するものも含まれる。

3) 不服申立の種類には、審査請求、再調査の請求および再審査請求があり、不服申立のうち、審査請求は、処分庁また不作為庁に対する不服申立てのことを言う。

4) 不服申立は、自然人であると法人とを問わず当事者能力を有する者であれば行うことができ、法人格のない社団のうち代表者又は管理人の定めのないものであっても不服申立を行うことができる。

5) 最高裁判所は、主婦連ジュース表示事件において、不服申立の申立適格は、行政庁の処分により法律上の利益を侵害された者であり 当該法律上の利益には公益保護を通じて一般国民が共通して受ける反射的利益が含まれると判示した。

■解説

1) 誤り。審査請求は審査請求書を提出するのが原則である(行政不服審査法19条1項。再調査の請求については61条、再審査請求については66条1項で19条1項を準用)。口頭で審査請求ができる場合は、法律(条例に基づく処分については、条例)に定めがある場合に限られる。

2) 正しい。旧法2条1項の内容だが、この内容は現行法にも妥当する。現行法には旧2条1項に相当する条文がないが、これは、このような継続的事実行為が現行法の処分概念に含まれる事につき異論がなく、規定を置く実益が乏しいとされたためである。現行法1条1項における「処分その他公権力の行使に当たる行為」には継続的事実行為が含まれると解されている(非継続的事実行為も含まれる事に注意)。宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』(2015年、有斐閣)12−13頁参照、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)235頁。

3) 誤り。審査請求をなすべき行政庁は、処分庁、不作為庁の最上級行政庁になる(4条4号、なお同条1−3号および3条参照)。例えば運輸支局長による処分については国土交通大臣が最上級行政庁になる。前掲宇賀27頁。

4) 誤り。「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で審査請求をすることができる」(10条。再調査の請求については61条、再審査請求については66条1項で19条1項を準用)。

5) 誤り。旧法下の事案であるが、最高裁は法律上の利益にこのような反射的利益が含まれるとはしていない(最判昭和53年3月14日)。なお行政事件訴訟法9条2項の考慮事項が法定されたにことついても注意。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)24頁、前掲櫻井他236−237頁。