■公務員試験過去問分析(物権法、総論)

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■物権法総論(国家公務員2種試験〔2011年〕)

物権に関するア)−オ)の記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) 物権は債権に対して優先的効力を有しており、同一の物について物権と債権が競合する場合は、その成立の前後にかかわりなく物権が債権に優先するのが原則である。

イ) 強力な権利である物権については、その変動を登記又は引渡しによって示すという公示の原則が採用されている。さらに、不動産については、権利の外形である登記を信頼して取引した者を保護するという公信の原則が採用されている。

ウ) 物権は、物に対する絶対的・排他的な支配権であるから、その円満な支配状態が侵害された場合は、その侵害を除去するために物権的請求権を行使することができるが、その行使の要件として、侵害者の故意・過失が必要である。

エ) 民法は、物の事実的支配たる占有に一定の法的保護を与えており、占有者は、他人に占有を侵害された場合は、その占有が正当な権利に基づくものか否かにかかわらず、妨害の除去を請求することができる。

オ) 売買や贈与のように、直接的には債権・債務を生じさせる法律行為であるが、終局的には物権の移転を目的とする法律行為を行う場合は、物権の移転を生じさせる法律行為の成立には、当事者の意思表示のみでは足りず、不動産については登記、動産については引渡しが必要である。

■解説

ア) 正しい。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)14頁。

イ) 誤り。公示の原則についての説明は正しいが、公信の原則が採用されているのは不動産ではなく動産である。前掲淡路他25頁以下。

ウ) 誤り。物権的請求権の行使の要件として故意過失は必要ではない。前掲淡路他19頁以下。

エ) 正しい。前掲淡路他125頁以下。

オ) 誤り。売買契約のような所有権移転を目的とする契約(債権契約)が結ばれれば、その効果として所有権の移転という物権変動も生じるというのが通説、判例である(意思主義物権行為の独自性否定説)。前掲淡路他32頁。176条参照。

■不動産物権変動と時効(国家公務員2種試験〔2011年〕)

次の文章は、時効と登記の関係について述べたものである。空欄A−Dに入るものの組み合わせとして妥当なものはどれか。

X所有の土地を、Yが平穏・公然に21年間占有したとする。Yの21年間の占有によって時効期間が経過しており、Yは(A)当該土地の所有権を取得していることになる。

しかし、Xが第三者Zに当該土地を売った場合は、YとZのどちらかが土地の所有権を取得できるのかが問題となる。

判例によれば、次のように解されている。Yが悪意で占有を開始してから15年後にXが当該土地をZに売却したがYの現実の占有状態に変化が無かった場合、Yの占有開始から23年後の時点では(B)が当該土地の所有権を取得している。
また、Yが悪意で占有を開始してから22年後にXが当該土地をZに売却したがYの現実の占有状態に変化が無かった場合、Yの占有開始から23年後の時点では(C)が当該土地の所有権を取得している。  この判例理論に対しては、(D)という批判がなされている。

A) ア) 登記を具備していれば、イ) 登記を具備しなくても

B) ア) Y、イ) Z、ウ) 先に登記を具備した方

C) ア) Y、イ) Z、ウ) 先に登記を具備した方

D) ア) 先に登記を具備した者が常に所有権を取得することになる、イ) 取引の安全を重視するあまり、時効取得者の保護が薄くなりすぎる、ウ) 10年の所有権の取得時効の方が時効取得者の保護が薄くなる、エ) 20年の所有権の取得時効の方が時効取得者の保護が薄くなる

1) A−ア、B−ウ、C−ウ、D−ア

2) A−ア、B−イ、C−イ、D−イ

3) A−イ、B−ア、C−ウ、D−ウ

4) A−イ、B−ウ、C−ア、D−エ

5) A−イ、B−ウ、C−ウ、D−ア

■解説

A) 「登記を具備しなくても」。時効完成時におけるXYの関係は、当事者の関係であり、Yは登記なくして土地の所有権をXに主張し得る(大判大正7年3月2日)。前掲淡路他62頁。

B) 「Y」。Yの時効期間満了後におけるYZの関係も当事者だからである(最判昭和41年11月22日)。前掲淡路他62頁。

C) 「先に登記を具備した方」。「時効期間満了後にXがZに譲渡した場合」の、YZの関係如何。この場合は、X−Z、X−Yという二重譲渡と同視しできるので、YとZのいずれか先に登記を具備した方が土地所有権を対抗できる(大連判大正14年7月8日)。前掲淡路他63頁。

D) 「10年の所有権の取得時効の方が時効取得者の保護が薄くなる」。Xの不動産をYが占有17年目にXがZに売却、20年経過後に紛争になった場合。@Yが善意であればZは時効期間(10年)満了後の第三者になるので、先に登記を具備した者が当該不動産の所有権を対抗できる。AYが悪意であれば、時効期間満了時のZは当事者になるので、Yは登記なくしてZに所有権を対抗できることになる。前掲淡路他63−64頁。

よって正解は3)になろう。