公務員試験過去問解説(行政法、行政裁量1)

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■行政裁量(地方公務員試験上級〔2006年〕)

行政裁量についての最高裁判所の判例に関する記述として、妥当なのはどれか。

1) 神戸税関事件では、公務員の懲戒処分の場合懲戒権者はその処分の行使に裁量権を有するが、裁判所が懲戒処分の適否を審査するときは、懲戒権者と同一の立場に立って判断すべきであるとした。

2) マクリーン事件では、外国人の在留期間の更新に関する法務大臣の判断に関し、その判断が全く事実の基礎を欠きまたは社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかな場合であることに限り、裁量権の濫用があったものとして違法となるとした。

3) 道路管理者が車両制限令上の認定を5ヶ月留保したことの違法性が争われた事件では、当該認定は裁量の余地のない確認的行為であるため、当該道路管理者による時の裁量は、まったく許容できないとした。

4) 第一次教科書訴訟では、教科書検定における合否の判定は、学術的、教育的な専門技術的判断を行う教科書用図書検定調査審議会の答申に基づく文部大臣の合理的な裁量に委ねられているため、裁判所が違法と判断する余地はないとした。

5) 信仰上の理由により剣道実技の履修拒否をした公立学校の生徒に対する進級拒否処分及び退学命令処分が争われた事件では、代替措置の検討を十分に行っているため、当該措置には裁量権を超える違法性はないとした。

■解説

1) 誤り。判例は、裁判所が「懲戒処分の適否を審査するにあたっては、懲戒権者と同一の立場に立って」判断すべきではなく、懲戒処分が「社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法と判断すべきもの」としている(最判昭和52年12月20日)。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)櫻井他117頁、稲葉−人見−村上−前田『行政法』第4版(2018年、有斐閣)114頁。

2) 正しい。最大判昭和53年10月4日。前掲櫻井他115−116頁、稲葉他33頁。

3) 誤り。ここでいう認定の留保と国家賠償法上の違法性が問題となった事件で、判例は認定の留保が確認的行為であると認めつつ、実際の留保の機能が許可と類似していることを指摘し、当該認定につき裁量の行使を認めた(最判昭和57年4月23日)。前掲櫻井他114頁、稲葉他79頁。

4) 誤り。判例は、当該審議会の判断過程に看過し得ない過誤があり、文部大臣がこれに依拠した場合、合否判定は違法となるとしている(最判平成5年3月16日)。前掲櫻井他119頁。

5) 誤り。判例は、学校側が代替措置につき不可能でもないのにこれについてなにも検討せず、代替措置の申し入れを一切拒否したという点をとらえ、2つの処分につき裁量権の範囲を超える違法性があるとした(最判平成8年3月8日)。前掲塩野136頁、櫻井他119頁。