■公務員試験過去問解説(行政法、行政行為の効力1)

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■行政行為の効力(地方公務員試験上級〔2010年〕)

行政法学上の行政行為の効力に関する記述として、妥当なのはどれか。

1) 行政行為の自力執行力は、行政行為によって命ぜられた義務を国民が履行しない場合に、行政庁が裁判判決を得て義務者に対し強制執行を行うことができるが、強制執行を行うためには、法律の根拠が必要である。

2) 行政庁は、不服申立てや取消訴訟を提起できる争訟提起期間を経過すると、当該行政行為に不可変更力が生じ、職権による行政行為による取消しや撤回をすることができない。

3) 行政行為の公定力または行政行為に対する取消訴訟の排他的管轄制度には、違法性がいかに甚だしい場合でも、相手方が適法に取消訴訟を提起し、取消判決を得ない限り、行政行為の事実上の通用に対して救済を求めることはできない。

4) 行政行為の公定力は、違法な行政行為によって被害をこうむったことを理由とする損害賠償請求訴訟には及ばないので、裁判所が判決で行政行為を違法として損害賠償を認めても、行政行為の効力は存続する。

5) 裁決庁がいったん下した裁決を自ら取消して、新たに裁決をやり直した場合、新たな裁決は、紛争を解決するための裁断作用に認められる不可争力に反して違法である。

■解説

1) 誤り。行政行為によって課せられた義務を、裁判所の強制執行手続を経ずして実現できるという効力を自力執行力という。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)91頁、稲葉−人見−村上−前田『行政法』第4版(2018年、有斐閣)74頁。

2) 誤り。この場合生じるのは不可変更力ではなく、不可争力である。また不可争力が発生した行政行為を、「行政庁」が取消すことは可能である(不可争力は「私人」が争えなくなる場合を想定する)。前掲櫻井他91頁、前掲稲葉他73−74頁。

3) 誤り。行政行為の瑕疵が取消しにとどまる程度ではなく、重大かつ明白な瑕疵である場合、その行政行為には公定力も認められず取消訴訟の排他的管轄も認められない。つまり取消訴訟を経ずに当該行政行為を否定し得る。前掲櫻井他84頁以下、前掲稲葉他70頁。

4) 正しい。国家賠償訴訟には公定力が及ばないと解されている(最判昭和36年4月21日)。また国家賠償訴訟は、行政行為の法効果とは関係なく行政行為の違法性を争うだけなので、「行政行為を違法として損害賠償を認めても、行政行為の効力は存続する」ことになる。前掲櫻井他93頁、前掲稲葉他72−73頁。

5) 誤り。「紛争を解決するための裁断作用に認められる不可変更力に反して違法である」なら正しい(最判昭和29年1月21日)。前掲櫻井他91−92頁、前掲稲葉他75頁。