■公務員試験過去問解説(行政法、行政行為の取消、撤回)

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■行政行為の取消、撤回(地方公務員試験上級〔2008年〕)

行政行為の撤回に関する記述として、妥当なものはどれか。

1) 行政行為の撤回とは、行政行為がその成立時から瑕疵を有することを理由として、当該行政行為の効力を消滅させることをいう。

2) 行政行為の撤回は、行政行為を行った行政庁が行うことができ、当該行政庁の上級行政庁は当該行政行為を撤回できない。

3) 行政行為の撤回の効果は、行政行為の成立時に遡って生じ、当該行政行為の効力が初めからなかったものとされる。

4) 侵害的行政行為の撤回は、相手方の利益となるが、権力的な行為であるため、撤回には常に法律の根拠が必要とされる。

5) 授益的行政行為の撤回は、公益上の必要性からおこなわれるものであるため、当該行政行為の撤回による相手方の損失に対し、損失補償は一切なされない。

■解説

1) 誤り。行政行為の成立時の瑕疵を理由にその効力を消滅させるのは、撤回ではなく取消である。撤回は、適法に成立した行政行為を後発的な事情の変化によりその効力を消滅させる場合である。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)97頁、稲葉−人見−村上−前田『行政法』第4版(2018年、有斐閣)86頁。

2) 正しい。撤回権を有するのは処分庁のみである。前掲櫻井他98頁、稲葉他87頁。

3) 誤り。これは撤回ではなく取消の説明である。撤回には遡及効がない。前掲櫻井他97頁、稲葉他87頁。

4) 誤り。撤回に法律上の根拠が必要かという点については争いがあるが、通説は不要説をとる(撤回自由の原則)。判例も不要説である(最判昭和63年6月17日)。前掲櫻井他98−99頁、稲葉他87頁。

5) 誤り。目的外使用許可と撤回が問題となった事案で、判例は、使用許可に際して支払った対価を償却していないというような特別の事情がある場合、撤回につき損失補償が必要であるとしている(最判昭和49年2月5日)。前掲櫻井他100−101頁、稲葉他350頁。