■公務員試験過去問解説(国家賠償法2)

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■国家賠償法1条(国税専門官試験〔2006年〕)

国家賠償に関するア)−オ)の記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているものはどれか。

ア) 国家賠償責任を発生させる「公権力の行使」の「公権力」は、行政権に属する権力をさし、立法権及び司法権に属する権力は含まれない。

イ) 国家賠償責任を発生させる公務員の職務執行とは、行為の外形において職務執行と認めうべきものをいうのであるから、公務員が自己の利益を図る意図をもってする場合であっても、客観的に職務執行の外形を備える行為をして、それによって他人に損害を加えた場合には、国家賠償の対象となるとするのが判例である。

ウ) 行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするにあたっては、あらかじめ当該行政行為の取消または無効確認の判決を得なければならないものではないとするのが判例である。

エ) 公権力の行使により損害が発生し、国が賠償の責任を負う場合には、その損害を発生させた公務員個人も被害者に対して直接責任を負うとするのが判例である。

オ) 国家賠償法第1条第1項に基づいて国が賠償の責任を負うには、公権力の行使に当たる公務員が、職務を行うについて「故意又は過失」ではなく「故意又は重大な過失」によって違法に他人に損害を加えたことが必要である。

1) ア)、イ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) ウ)、エ)
5) エ)、オ)

■解説

ア) 誤り。「公権力の行使」(国家賠償法1条1項)の「公権力」には、行政権ばかりでなく立法権(最判昭和60年11月21日)及び司法権も(最判昭和57年3月12日)も含まれる。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)328頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)373頁。

イ) 正しい。最判昭和31年11月30日。外形標準説である。前掲塩野350頁、櫻井他367頁。

ウ) 正しい。最判昭和36年4月21日。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)147−148頁、前掲櫻井他87頁。

エ) 誤り。判例は、公務員個人に対して直接損害賠償請求をできないとしている(最判昭和30年4月19日)。国家賠償法は公務員の個人責任を求償権の問題のみに限定している。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)353頁、前掲櫻井他366頁。

オ) 誤り。国家賠償法1条1項の賠償責任の発生には、公務員の故意過失要件が必要である。故意又は重過失というのは、国又は公共団体が公務員に求償する場合の要件である(1条2項)。

よって正解は3)となろう。