■不動産物権変動のまとめ

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■不動産物権変動

意思」主義(176条)
→物権変動を生じさせる法律行為の成立は、当事者の意思だけで足りる(淡路他『民法U』 第2版〔2001年、有斐閣〕29頁)。

物権変動、所有権移転の「時期」 
→債権契約(売買契約)時に物権変動(所有権移転)が生じる(最判昭和33年6月20日)。但し「特約」があればそれによる(最判昭和35年3月22日)。前掲淡路他37−38頁。

公示」の原則(177条)

■不動産物権変動と対抗

*二重譲渡事案と「不完全物権変動説」(淡路他48頁以下)

法律行為の取消と物権変動(淡路他51頁以下)
(1)AがBを強迫(又は欺網)。(2)BがAに不動産を売却しAがそれをCに売却後、(3)BがAB間の契約を取消す。
→強迫取消「」に第三者が利害関係に入る:Bは登記なくしてCに「対抗可」(大判昭和4年2月20日)。*96条3項(詐欺)に注意。

□AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消した場合に、Cは善意であれば登記を備えなくても保護される(2008−29−1○)。

(1)AがBを強迫(又は欺網)。(2)結果BがAに不動産を売却するが、BがAB間の契約を取消す。(3)後にAがそれをCに売却。
→詐欺、強迫取消「」に第三者が利害関係に入る:Bは登記なければCに「対抗不可」。

□AからBに不動産の売却が行われた後に、AがBの詐欺を理由に売買契約を取り消したにもかかわらず、Bがこの不動産をCに転売してしまった場合に、Cは善意であっても登記を備えなければ保護されない(2008−29−1○)。

解除と物権変動(淡路他54頁以下)
(1)BがAに不動産を売却。(2)Aが不動産をCに転売後、(3)BがAの債務不履行を理由にAB間の契約を解除。
→解除「」に第三者が利害関係に入る:Bは登記なくしてCに「対抗不可」(最判昭和33年6月14日)。

□AからBに不動産の売却が行われ、BはこれをさらにCに転売したところ、Bに代金不払いが生じたため、AはBに対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、Cは善意であれば登記を備えなくても保護される(2008−29−3×)。

(1)BがAに不動産を売却。(2)BがAの債務不履行を理由にAB間の契約を解除するが、(3)Aは不動産をCに転売。
→解除「」に第三者が利害関係に入る:Bは登記なければCに「対抗不可」(大判昭和14年7月7日)。

□AからBに不動産の売却が行われたが、Bに代金不払いが生じたため、AはBに対し相当の期間を定めて履行を催告したうえで、その売買契約を解除した場合に、Bから解除後にその不動産を買い受けたCは、善意であっても登記を備えなければ保護されない(2008−29−4○)。

相続と物権変動(前掲淡路他56頁以下)
1.A所有の不動産をBCが持分同一で共同相続したが、Bが単独相続したものとして登記、これをDに売却。
→Cは自己の持分を登記なくしてDに「対抗可」(最判昭和38年2月22日)。

2.A所有の不動産をBCが持分同一で共同相続。Bが持分をDに「売却後」、Cが遺産分割により当該不動産を単独相続。
→Dが、909条但書の保護を受けるには「登記を要する」。

3.A所有の不動産をBCが持分同一で共同相続。後にCが遺産分割により当該不動産を単独相続したものの、Bが持分をDに売却。
→Cは自己の持分を登記なくしてDに「対抗不可」(最判昭和36年1月26日)。

4.相続放棄。共同相続人の一人が相続放棄、他の相続人が不動産を単独相続。相続を放棄した者が放棄しなければ相続したであろう持分を第三者に譲渡。
→対抗関係に立たない。単独相続した者は登記なくして第三者に「対抗可」(最判昭和42年1月20日)。

時効と物権変動(前掲淡路他61頁以下)
1.時効「完成時」の時効主張者と真正所有者
→対抗関係に立たない。時効主張者は登記なくして真正所有者に「対抗可」(大判大正7年3月2日)。

2.原権利者が時効「完成前」に第三者に譲渡。その後時効が完成した場合の、時効主張者と第三者
→対抗関係に立たない。時効主張者は登記なくして第三者に「対抗可」(時効完成時第三者は最早当事者になっている。最判昭和41年11月22日)。

3.原権利者が時効「完成後」に第三者に譲渡。その後時効が完成した場合の、時効主張者と第三者。
→対抗関係に立つ。時効主張者は登記なければ第三者に「対抗不可」(大連判対象4年7月8日)。

□A所有の甲地につきBの取得時効が完成した後に、Aが甲地をCに譲渡した場合、Bは登記なくしてCに対抗できる(2000―28―ア×)。

■177条の「第三者」

制限説(当事者もしくはその包括承継人にあらずして不動産に関する物権の得喪および変更の登記欠けつを主張する正当の利益を有する者。2009−48)→物権取得者差押債権者(×一般債権者)。前掲淡路他66頁以下。

*賃借人 Bに貸しているAの不動産をCが購入(前掲淡路他68頁以下)。
→Bが賃借権の対抗要件(借地借家法10条1項、31条1項)を具備:CはBに対抗可。
→Bが賃借権の対抗要件を具備していない:Cが不動産の明渡を要求するには「登記を要する」(大判昭和6年3月31日)。
→CがBに賃料を請求:Cは登記を要する(大判昭和8年5月9日)。

□A所有の甲地がBに譲渡されたが甲地には賃借人Cがいた場谷、Bは登記なくしてCに対抗することができる(2000―28―エ×)。

*不動産登記法4、5条(前掲淡路70頁以下)

背信的悪意者排除説(判例理論)

□A所有の甲地がBに譲渡され、さらにAB間の譲渡の事実を知っているCに譲渡されてCに所有権移転登記がされた場合、Bは登記なくしてCに対抗することができる(2000―28イ×)。

(1)A→B不動産売却、(2)A当該不動産をCにも売却、(3)Cが更にDに売却した場合において、Cは背信的悪意者であるがDは背信的悪意者でない場合、Cは背信的悪意者ではないが、Dは背信的悪意者である場合は如何。
→前者については、DがBとの関係で背信的悪意者でない限り、Dは177条の「第三者」に該当する(最判平成8年10月29日)。
→後者については、DがBとの関係で背信的悪意者であれば177条の「第三者」から除かれるとする説(相対説)と、Cが背信的悪意者でない以上それ以後の人物は177条の「第三者」に含まれるとする説(絶対説)がある。

不法行為者不法占拠者:「第三者」に該当しない(最判昭和25年12月19日)。

□A所有の甲地がBに譲渡されたが甲地には不法占拠者Cがいた場合、Bは登記なくしてCに対抗することができる(2000―28―オ○)。