■行政書士試験「本試験用憲法(憲法総論)Check List」Ver.1

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■憲法と立憲主義(芦部1頁〜>)

1 憲法の定義

形式的意味の憲法 成文憲法典のこと。

実質的意味の憲法 以下2つのものがある。この概念については、成文不文を問わないものである。

*固有の意味の憲法 国家統治の基本法のこと。

**立憲的(近代的)意味の憲法 権力を制限し人権を保障する法
cf.フランス人権宣言第16条「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法をもたない」という条文は、立憲的意味の憲法の趣旨を表現しているものである。 

憲法の理解に際しこれらの概念のうち最も重要なのは、立憲的意味の憲法である。



2 憲法規範の特質

近代憲法の特質 @自由の基礎法、A制限規範、B最高法規

@自由の基礎法
憲法は自由の規範=人権規範を保障する。統治規範−奉仕→人権規範

A制限規範
憲法=国家権力を制限する基礎法

B最高法規
憲法は人権保障法であるからこそ、最高法規となる。日本国憲法について言えば、98条の最高峰規制の実質的根拠付けは、97条に求められる。

97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

98条1項 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

3 法の支配

近代立憲主義思想は、法の支配の原理と密接に関連する。

法の支配(rule of law) 専断的な国家権力の支配を排斥し、権力を法で拘束することによって国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理。

英米法の法の支配の概念と区別しなければならないのが、大陸法的な法治国家(Rechtsstaat)の概念である。比較表(新規ウインドウが開きます)。

■日本憲法史(芦部18頁〜)

1 明治憲法

これまでの行政書士試験ではほとんど出題がなかったが、新試験制度実施後は出題もあり得るので注意。

□旧憲法の特質 反民主的要素と民主的要素の混合体。また後者も民主的要素とは言え不十分なものであった。

*反民主的要素 
天皇主権(1条)、神権主義的天皇制(3条)、統治権の総覧者としての天皇(4条) ・天皇大権、

**民主的要素
権利、自由の保障。但し法律の留保(Vorbehalt des Gesetzes)付きの人権等(法律の範囲内で保障された権利自由にすぎなかった)。

権力分立政の採用。但し国家機関は天皇の大権を翼賛する機関にすぎなかった。

大臣助言制の採用。なお内閣制度は憲法上の制度ではなかった

明治憲法と現行憲法において共通して保障されていた人権(e.g.信教の自由、請願権)や、現行憲法になって初めて保障されるようになった人権(e.g.学問の自由)等をチェックしておくとよい。

■国民主権の原理(芦部35頁以下)

1 前文

□内容 国民主権主義、人権尊重主義、平和主義の原理。
→これら3つは、「基本的人権の保障は、国民主権主義の下での民主政下及び平和環境の下でのみ達成される」という相互関連性を有する。

□法的性格
前文は憲法の一部をなし、本文と同じ性格を有する。よって前文内容に反する憲法改正は許されない(憲法改正の限界)。但し前文には、本文と異なり裁判規範性が認められない(裁判所に対し前文を直接の根拠として何か執行を求めることはできない)。cf.平和的生存権 

2 国民主権

□主権の意義 
@国家の統治権 (cf.「国権」〔41条〕) 
A国家権力の対外的独立性・対内的最高性 (cf.「自国の主権を維持し」〔前文3項〕)
B国政についての最終決定権又は権威 (cf.「主権の存する日本国民の総意」〔1条〕)

本試験問題(2000−6)
次のうち、「主権」という言葉が他とは違う意味で使われているものはどれか。

1) ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

2) 政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

3) 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

4) 国民主権の原理は、国政が国民の厳粛な信託によるものであることを意味する。

5) 高度の政治性を有する国家行為は、司法審査になじまず、国会などの政治部門の、最終的には主権者たる国民の、政治責任において行われるべきである。

2)が正解。解説

□国民主権にいう「国民」「主権」の意味 
上記Bが国民にある場合を国民主権という。

なおBの意味の主権について、国民による「国政の最終決定権」という点を重視すれば、国民主権に言う「国民」は有権者団を指すことになり(国民主権の権力的契機)、「国政の最終的な権威」という点を重視すれば、「国民」は全国民を指すことになる(国民主権の正当性契機)。

そして日本国憲法下での国民主権概念には、権力的契機、正当性契機の両者が並存しているものと解される。

3 天皇制

□旧憲法と現行憲法における天皇制の比較 (新規ウインドウが開きます)

□天皇の権能 国事行為(4条)のみを行う←「内閣」の「助言と承認」(3条)

※国事行為の類型全て暗記 cf.天皇の公的行為(国会開会式における「おことば」等の可否)

□天皇の権能の代行(5条)
□皇位継承(2条)
□皇室財産のコントロール(88条)

■平和主義の原理(芦部54頁以下)

□憲法9条の解釈論

第9条 
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

1項 戦争「放棄」の意味
甲 「国際紛争を解決する手段」としての戦争とは、国際法上の用語例に従えば、侵略戦争を放棄したものと解される。

乙 すべての戦争は国際紛争を解決するものであり、1項の戦争放棄は自衛戦争をも放棄したものである。

2項の解釈、特に1項との関連について
甲−1 2項にいう「前項の目的」は、1項にいう「国際平和の誠実希求」を指し、また2項において戦力不保持と交戦権の否認をしている以上、2項によって自衛戦争はできないことになる、と解する。

*甲−1説は、自衛戦争を現行憲法が認めていないとする点で、乙説と共通するが、乙説は9条1項で自衛戦争が禁止されていると解する一方、甲−1説は2項によって自衛戦争が禁止されたと解する点で、両者は異なっている。

なお1項の解釈論で乙説を採用した場合、1項が侵略、自衛両戦争の放棄、2項がこの両戦争を遂行できないように戦力の不保持を定めた(1項2項が目的手段の関係になる)、と解することになろうか。

甲−2 2項でいう「前項の目的」とは侵略戦争放棄という目的であり、2項はその目的のための戦力の不保持を定めたと解する。よって自衛戦争遂行のための戦力保持は、この説によると認められることになるが、この説を支持する論者はきわめて少数である。

□判例
砂川事件 駐留米軍の合憲性が争われた事案 判決文

憲法9条と自衛隊の関係が争われたものとしては、長沼事件恵庭事件等がある。なおこれら3つの事件については、司法審査に絡む諸問題(統治行為論、憲法判断回避の準則〔ブランダイスルール〕)