■2020年行政書士試験・民法第7問(債権)

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■賃借権(2020−33)【判例問題】

A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、「本件賃貸借契約」という。)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1) 本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、AからCに移転する。

2) 乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。

3) Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない。

4) 本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。

5) 本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合において、本件賃貸借契約が期間満了によって終了したときは、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに対して、上記の敷金の返還を求めることができる。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 正しい。賃貸人たる地位はCに移る、即ち「契約当事者が変更される」(民法605条の2第1項)。大村敦志、道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)427−428頁参照(角田美穂子執筆)。Bは、乙建物に付き所有権保存登記をしているので、不動産(甲)賃貸借つき対抗要件を具備している点に注意(605条、借地借家法10条)。

2) 誤り。よってこれが正解である。BはCに対抗し得ない(最判昭和47年6月22日)。なお同居する子供の名義の登記でも、対抗力を否定するのが判例である(最大判昭和41年4月27日)。藤岡−磯村−浦川−松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)148頁。

3) 正しい。民法605条の2第3項(同条項は、大判昭和8年5月9日等を立法化したものである)。淡路−鎌田−原田−稲熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)68頁参照。

4) 正しい。608条1項、605条の2第4項。なお有益費の場合と比較せよ(608条2項参照)。

5) 正しい。賃貸人の敷金返還義務は、「賃貸借終了」かつ「賃借物の返還」の後に発生する。622条の2第1項1号。