■2020年行政書士試験・民法第6問(債権)

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■同時履行の抗弁権(2020−32)【判例問題】

同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 双務契約が一方当事者の詐欺を理由として取り消された場合においては、詐欺を行った当事者は、当事者双方の原状回復義務の履行につき、同時履行の抗弁権を行使することができない。

2) 家屋の賃貸借が終了し、賃借人が造作買取請求権を有する場合においては、賃貸人が造作代金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。

3) 家屋の賃貸借が終了し、賃借人が敷金返還請求権を有する場合においては、賃貸人が敷金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。

4) 請負契約においては仕事完成義務と報酬支払義務とが同時履行の関係に立つため、物の引渡しを要する場合であっても、特約がない限り、仕事を完成させた請負人は、目的物の引渡しに先立って報酬の支払を求めることができ、注文者はこれを拒むことができない。

5) 売買契約の買主は、売主から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。民法121条の2第1項、121条。判例として第三者詐欺の事案に付き、最判昭和47年9月7日。

2) 誤り。判例は、造作代金と同時履行関係に立つのは「造作」についてのみであり、「家屋自体」の明渡しについては同時履行の関係に立たないとする(大判昭和7年9月20日)。藤岡ー磯村ー浦川ー松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)30頁。 

3) 誤り。この場合家屋の明渡しが先履行義務となる(622条の2第1項1号)。敷金の返還と賃借物の明渡しは同時履行の関係に立たない(最判昭和49年9月2日)前掲藤岡他125頁。

4) 誤り。「仕事完成義務」は報酬支払に対し先履行の関係に立つが、「目的物の引渡し」は報酬支払に対し同時履行の関係に立つ(633条本文)。前掲藤岡他180頁。

5) 正しい。大判明治44年12月11日。