■2020年行政書士試験・民法第2問(物権)

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■占有改定(2020−28)【判例問題】

占有改定等に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア) 即時取得が成立するためには占有の取得が必要であるが、この占有の取得には、外観上従来の占有事実の状態に変更を来たさない、占有改定による占有の取得は含まれない。

イ) 留置権が成立するためには他人の物を占有することが必要であるが、この占有には、債務者を占有代理人とした占有は含まれない。

ウ) 先取特権の目的動産が売買契約に基づいて第三取得者に引き渡されると、その後は先取特権を当該動産に対して行使できないこととなるが、この引渡しには、現実の移転を伴わない占有改定による引渡しは含まれない。

エ) 質権が成立するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、設定者を以後、質権者の代理人として占有させる、占有改定による引渡しは含まれない。

オ) 動産の譲渡担保権を第三者に対抗するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、公示性の乏しい占有改定による引渡しは含まれない。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) イ)、エ)
4) ウ)、オ)
5) エ)、オ)

■解説

【難易度】やや難しい。

ア) 正しい。占有改定は、民法192条の「占有」にあたるか。この点、判例は占有改定による即時取得を否定する(大判大正5年5月16日)。即時取得による所有権取得のためには、外見上従来の占有関係が変更されることを要するが、占有改定にはこのような外見上の占有関係の変更がない、ということがその理由である。
例えば、AがBに動産を譲渡後占有改定をしておき、続いてCにも同動産を二重譲渡し、占有改定をした場合、判例によれば、動産がAにある場合やBが現実の占有を取得した場合、Cは動産の所有権を主張できない。一方Cは、当該動産の現実の占有を取得しその時点で「善意無過失」であれば、所有権を主張できることになる。淡路ー鎌田ー原田ー稲熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)93頁以下。

イ) 正しい。但し「債務者が占有代理人」の場合であって、占有代理人による留置物の占有自体ができないわけではない(302条但書参照)。

ウ) 誤り。「先取特権の目的動産が売買契約に基づいて第三取得者に引き渡されると、その後は先取特権を当該動産に対して行使できない」(333条)が、「この引渡しには、現実の移転を伴わない占有改定による引渡し」が含まれる(大判大正6年7月26日)。即ち、占有改定により、先取特権の目的物の引渡をうけた第三取得者は、先取特権者に対抗し得ることになる。前掲淡路他226頁。

エ) 正しい。345条との関係上、344条の引渡し(効力発生要件)には占有改定は含まれない。つまり質権設定者が質物をそのまま預かるとか借り受けることはできない。前掲淡路他230頁。

オ) 誤り。ここでは動産譲渡担保の対抗要件たる引渡(178条)に占有改定が含まれる(最判昭和30年6月2日)。そもそも、動産譲渡担保は占有改定の方法で行われるものであり、譲渡担保契約が締結され、設定者がその後も目的物を占有していればそれで占有改定があったこととされるのである。前掲淡路他325頁。

よって正解は4)のウ)、オ)となろう。