■2020年行政書士試験・憲法第7問

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■第三者所有物没収事件(2020−7)【理論問題】

憲法訴訟における違憲性の主張適格が問題となった第三者没収に関する最高裁判所判決*について、次のア)ーオ)の記述のうち、法廷意見の見解として、正しいものをすべて挙げた組合せはどれか。

ア) 第三者の所有物の没収は、所有物を没収される第三者にも告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であり、これなしに没収することは、適正な法律手続によらないで財産権を侵害することになる。

イ) かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、それが被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をすることができる。

ウ) 被告人としても、その物の占有権を剥奪され、これを使用・収益できない状態におかれ、所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告により救済を求めることができるものと解すべきである。

エ) 被告人自身は本件没収によって現実の具体的不利益を蒙ってはいないから、現実の具体的不利益を蒙っていない被告人の申立に基づき没収の違憲性に判断を加えることは、将来を予想した抽象的判断を下すものに外ならず、憲法81条が付与する違憲審査権の範囲を逸脱する。

オ) 刑事訴訟法では、被告人に対して言い渡される判決の直接の効力が被告人以外の第三者に及ぶことは認められていない以上、本件の没収の裁判によって第三者の所有権は侵害されていない。

(注)*最大判昭和37年11月28日刑集16巻11号1593頁

1) ア)、イ)
2) ア)、エ)
3) イ)、オ)
4) ア)、イ)、ウ)
5) ア)、エ)、オ)

■解説

【難易度】やや難しい。

ア) 正しい。憲法31条の適正手続の内容として重要な「告知と聴聞」を受ける権利に注意。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、有斐閣)236頁。

イ) 正しい。自分(被告人)ではなく、第三者の権利を自分が主張できるとした点に注意。旧判例の最大判昭和35年10月19日はこれを否定していたのである。佐藤幸治『日本国憲法論』(2011年、日本評論社)632頁。

ウ) 正しい。

エ) 誤り。これは本件における下飯坂反対意見であろう。

オ) 誤り。これは本件における山田少数意見であろう。

よって正解は4)のア)―ウ)となろうか。