■2020年行政書士試験・憲法第2問

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■「二重の基準」の理論(2020−4)【理論問題】

表現の自由の規制に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

1) 表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止などがその例である。

2) 表現の内容を理由とした規制であっても、高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があり、営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現などがその例である。

3) 表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などがその例である。

4) 表現行為を事前に規制することは原則として許されないとされ、検閲は判例によれば絶対的に禁じられるが、裁判所による表現行為の事前差し止めは厳格な要件のもとで許容される場合がある。

5) 表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。

■解説

【難易度】やや難しい。基本書には必ず説明のある項目を問うものだが、この項目を扱っている行政書士試験のテキストは少ないと思われる。試験用テキストだけで勉強した方にとっては難しい問題だったと思われる。

1) 正しい。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、有斐閣)188頁。

2) 正しい。営利的言論や憎悪的表現(hate speech)も表現内容規制に含まれるが、これらは「低い価値の表現」と考えられるため、通常の表現内容規制の違憲審査と比べ、緩やかな基準が適用されると解されている。前掲芦部188、182ー186頁。

3) 正しい。この規制の違憲審査に用いられるべきとされている基準の1つが、「より制限的でない他の選びうる手段」の基準(LRAの基準)である。前掲芦部189頁。

4) 正しい。最大判昭和59年12月12日。検閲は、「行政権」が主体となる事前抑制で「憲法21条2項」により「絶対禁止」と解するのが判例である。なお判例によれば、「裁判所」による事前抑制は「21条1項」により「原則禁止」となることに注意。前掲芦部190頁以下。

5) 誤り。よってこれが正解である。ここで言う刑罰法規の「文言の射程を限定的に解釈し合憲とすること」を行った例として徳島市公安条例事件(最大判昭和50年9月10日)がある。前掲芦部197ー198頁。なお本肢との関係で、違憲審査基準である「漠然性のゆえに無効」と「過度の広汎性のゆえに無効」の2つに注意。前掲芦部197頁、なお同371頁参照。