■2020年行政書士試験・行政救済法第9問

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■情報公開と行政事件訴訟(2020−25)【判例問題】

情報公開をめぐる最高裁判所の判例に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法であることの理由として、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。

2) 行政機関情報公開法*に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟において、不開示決定時に行政機関が当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は、被告が負う。

3) 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合には、当該決定の取消しを求める訴えの利益は消滅する。

4) 条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合には、そのことにより直ちに、国家賠償請求訴訟において、当該決定は国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける。

5) 条例に基づき地方公共団体の長が建物の建築工事計画通知書についてした公開決定に対して、国が当該建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由としてその取消しを求める訴えは、法律上の争訟には当たらない。

(注)*行政機関の保有する情報の公開に関する法律

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。最判平成11年11月19日。裁判実務上被告側による処分理由の差替は原則許容されている。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)300−301頁。

2) 誤り。情報公開訴訟における主張立証責任は、@「解釈上不存在の場合」(存在する文章が開示請求の対象にならないと解釈された場合)、「行政機関」側が負うのに対し、A「物理的不存在の場合」、「開示請求権者」が負うというのが判例である(最判平成26年7月14日)。なお「不開示決定」の場合の主張立証責任は、当該決定をした「行政機関」が負う(最判平成6年2月8日)。前掲櫻井他225−226頁。

3) 誤り。この場合訴えの利益は消滅しない(最判平成14年2月28日)。前掲櫻井他292頁。

4) 誤り。公務員の行為が、結果として規範違反をしていたとしても、行為当時を基準に公務員がなすべきことをしていたか、という観点から違法性が否定される場合があり得る、というのが判例である(職務行為基準説。最判平成18年4月20日)。前掲櫻井他370頁。

5) 誤り。この事案が法律上の争訟に該当することを肯定したのが判例である(最判平成13年7月13日。但し原告適格は否定された)。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)300頁参照。これとの関係で、最判平成14年7月9日も参照のこと。前掲塩野297頁。