■2020年行政書士試験・行政救済法第7問

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■国家賠償法(2020−20)【判例問題】

国家賠償法に関する次のア)−エ)の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア) 同一の行政主体に属する複数の公務員のみによって一連の職務上の行為が行われ、その一連の過程で他人に損害が生じた場合、損害の直接の原因となった公務員の違法行為が特定できないときには、当該行政主体は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことはない。

イ) 税務署長が行った所得税の更正処分が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が更正処分をするに際して職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法 1 条 1 項にいう違法があったとはされない。

ウ) 国家賠償法 1 条 1 項に基づく賠償責任は、国または公共団体が負うのであって、公務員個人が負うものではないから、公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される。

エ) 国家賠償法 1 条 1 項が定める「公務員が、その職務を行うについて」という要件については、公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず、自己の利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしたときは、この要件に該当する。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) イ)、ウ)
4) イ)、エ)
5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。一連の行為のうちいずれかに行為者の故意又は過失によるのでなければ被害が生じることがなかったことが認められ、かつ、それがどの行為であるにせよ、この被害につき行為者の属する国又は公共団体が責任を負うべき場合、加害行為不特定を理由として賠償責任を免れ得ないとするのが判例である(最判昭和57年4月1日)。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)323頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)364頁参照。

イ) 正しい。最判平成5年3月11日。「取消訴訟と国家賠償法の違法は、それぞれ異なるとする見解」(職務行為基準説)である。前掲塩野339頁、櫻井他370頁。

ウ) 誤り。公務員個人が国家賠償法1条の責任を負わないという点は正しいが(代位責任説)、公務員個人を対象にした国家賠償請求訴訟は「理由がない」ため、却下ではなく棄却されることとなろうか(最判昭和30年4月19日参照)。前掲塩野317頁以下、櫻井他366頁。

エ) 正しい。最判昭和31年11月30日。外形標準説である。前掲塩野350頁、櫻井他367頁。

よって正解はイ)、エ)の4)となろう。