■2020年行政書士試験・行政救済法第4問

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■行政事件訴訟法(2020−17)【判例問題】

狭義の訴えの利益に関する次のア)−エ)の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア) 森林法に基づく保安林指定解除処分の取消しが求められた場合において、水資源確保等のための代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは当該保安林の存続の必要性がなくなったと認められるとしても、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。 

イ) 土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消しが求められた場合において、当該事業の計画に係る改良工事及び換地処分がすべて完了したため、当該認可処分に係る事業施行地域を当該事業施行以前の原状に回復することが、社会的、経 済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、当該認可処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

ウ) 建築基準法に基づく建築確認の取消しが求められた場合において、当該建築確認に係る建築物の建築工事が完了した後でも、当該建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われない。

エ) 都市計画法に基づく開発許可のうち、市街化調整区域内にある土地を開発区域とするものの取消しが求められた場合において、当該許可に係る開発工事が完了し、 検査済証の交付がされた後でも、当該許可の取消しを求める訴えの利益は失われない。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) イ)、ウ)
4) イ)、エ)
5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】易しい。

ア) 誤り。ここでの「保安林の存続の必要性がなくなったと認められる」場合、訴えの利益は否定される(長沼ナイキ基地訴訟〔最判昭和57年9月9日〕)である。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)154頁。

イ) 正しい。最判平成4年1月24日。塩野宏は、当該判決中で明示されてはいないものの、最高裁は、原状回復不能な場合、訴えの利益で処理するのではなく「事情判決によるべしと考えている」と指摘する。前掲塩野209頁。

ウ) 誤り。この場合訴えの利益は消滅する。最判昭和59年10月26日。前掲塩野150頁。

エ) 正しい。平成27年12月24日。前掲塩野150頁。

よって正解は4)のイ)、エ)となろう。