■2020年行政書士試験・行政法総論第2問

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■行政行為(2020−9)【理論問題】

行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 処分に重大かつ明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合において、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきである。

2) 行政庁の処分の効力の発生時期については、特別の規定のない限り、その意思表示が相手方に到達した時ではなく、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である。

3) 課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹にかかわる重大なものである場合であっても、当該瑕疵に明白性が認められなければ、当該課税処分が当然に無効となることはない。

4) 相手方に利益を付与する処分の撤回は、撤回の対象となる当該処分について法令上の根拠規定が定められていたとしても、撤回それ自体について別途、法令上の根拠規定が定められていなければ、適法にすることはできない。

5) 旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決は、これを実質的に見れば、その本質は法律上の争訟を裁判するものであるが、それが処分である以上、他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことを妨げない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 正しい。処分に重大な法規違反があり、瑕疵の存在が明白である場合、処分は「無効」になるが(重大明白説。最判昭和34年9月22日)、ここでの明白性は、「外観上一見明白」であることを要する(外見上一見明白説。最判昭和36年3月7日)。なお外見上一見明白説に対し、無効かどうかの判断は重大な瑕疵があればたり、必ずしも明白性を必要としないという説(明白性補充要件説〔塩野〕)もある。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)162ー164頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)93−94頁。

2) 誤り。行政行為の効力発生時期は、意思表示の一般原則(民法97条1項参照)にならい、行政行為が相手方に到達した時と解されている。前掲塩野167頁。

3) 誤り。1)にあるように、処分は重大かつ明白な瑕疵がある場合無効となるが、例外として、課税処分のように外観の明白性を考慮する必要がない(課税処分の存在を信頼する第三者がいない)場合、瑕疵の重大性の存在を以て処分を無効とし得る場合もある(最判昭和48年4月26日)。なお処分に利害関係を有する第三者がいる場合、明白性の要件が必要となることはこの判決も認めている。また最高裁は、一般的に明白性の要件を不要としたわけではない点に注意。前掲塩野163頁、櫻井他94頁。

4) 誤り。授益的行政行為の撤回は侵害行為だから、撤回自体に法律の根拠を要するとする説もあるが、撤回について個別の根拠を要しないとするのが通説、判例(最判昭和63年6月17日)である。前掲塩野173頁、櫻井他98頁。

5) 誤り。このように、認容裁決を出した訴願裁決庁が、後に当該認容裁決を取り消すことは認められない(行政行為の不可変更力)。最判昭和29年1月21日。前掲塩野156頁。