■2020年行政書士試験・法令記述式第2問

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■民法(2020−45)【条文知識問題】

Aは、Bとの間で、A所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Aが本件契約を締結するに至ったのは、平素からAに恨みをもっているCが、Aに対し、甲土地の地中には戦時中に軍隊によって爆弾が埋められており、いつ爆発するかわからないといった嘘の事実を述べたことによる。Aは、その爆弾が埋められている事実をBに伝えた上で、甲土地を時価の2分の1程度でBに売却した。売買から1年後に、Cに騙されたことを知ったAは、本件契約に係る意思表示を取り消すことができるか。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。なお、記述にあたっては、「本件契約に係るAの意思表示」を「契約」と表記すること。

■解説

【難易度】易しい。

@ AB間で甲土地売買契約が交わされたものの、Aが甲土地を売却した理由は、Cが甲土地について嘘の情報でAを騙したことにある。

A まず、本問を錯誤の事案として処理することも可能だと思われる。Aは、Cの「欺罔行為」によって「錯誤」に陥りその結果売買契約を締結したからである。但し錯誤の構成をすると、動機の錯誤(95条1項2号)にふれた上で、当該錯誤の重要性も論述する必要があるため(95条1項本文)、冗長な論述をしなければならない。

B 本問では、問題文でわざわざ「騙された」と認定している点、およびわざわざ「第三者」Cを登場させている点を考慮すれば、第三者詐欺(96条2項)の論述をさせるのが出題意図であったと考えるのが素直であろう。本問は、Aが取消し得るか否かを論述(事実認定)させる問題というより、取消権を行使できる場合を論述させる問題といえよう(問題文の書き方が不親切ではある)。

正解は以下のようになろうか。
BがCによる詐欺の事実を知り、または知ることができた場合、Aは本件契約を取消し得る。(42文字)

C 旧規定と異なり、現行法の下では相手方が「詐欺の事実を知ることができた」場合にも、第三者詐欺を理由とした取消しが可能になった(96条2項)。また96条1項の取消しを対抗できない「第三者」が、「善意の第三者」から「善意無過失の第三者」に改められたということに注意しておきたい。

本問に付き、山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)136−139頁、道垣内弘人編『解説民法(債権法)改正のポイント』(2017年、有斐閣)442−443頁参照(角田美穂子執筆)24頁参照。