■2020年行政書士試験・法令記述式第1問

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■行政法(2020−44)【理論問題】

A県内の一定区域において、土地区画整理事業(これを「本件事業」という。)が計画された。それを施行するため、土地区画整理法に基づくA県知事の認可(これを「本件認可処分」という。)を受けて、土地区画整理組合(これを「本件組合」という。)が設立され、あわせて本件事業にかかる事業計画も確定された。これを受けて本件事業が施行され、工事の完了などを経て、最終的に、本件組合は、換地処分(これを「本件換地処分」という。)を行った。Xは、本件事業の区域内の宅地につき所有権を有し、本件組合の組合員であるところ、本件換地処分は換地の配分につき違法なものであるとして、その取消しの訴えを提起しようと考えたが、同訴訟の出訴期間がすでに経過していることが判明した。

この時点において、本件換地処分の効力を争い、換地のやり直しを求めるため、Xは、誰を被告として、どのような行為を対象とする、どのような訴訟(行政事件訴訟法に定められている抗告訴訟に限る。)を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

■解説

【難易度】難しい。被告適格を有するのは誰か、訴えの対象と提起すべき訴訟はなにか、この3点を記述する問題である。

@ 「被告適格」。問題文中に何も記載がないため、「本件組合」は解散していないとすると(土地区画整理法45条1項4号、同条2項参照)、被告は「本件組合」となる。土地区画整理組合は、それ自体一つの独立した法人だが、行政事件訴訟法上、換地処分という行政処分をおこなう(土地区画整理法127条の2参照)「(国又は公共団体に所属しない)行政庁」に該当する(行政事件訴訟法11条2項)。

A 「訴えの対象と提起すべき訴訟」。対象は本件換地処分である。問題はこれについていかなる訴訟をを提起すべきかである。
本件換地処分については取消訴訟の出訴期間(行政事件訴訟法14条1項)が経過している。そのため本件処分を争うには、それが「無効」の処分であることを主張しなければならないが、その方法としては、1)「現在の法律関係に関する訴え」(民事訴訟〔争点訴訟〕、当事者訴訟)と、2)「無効等確認の訴え」がある。本問では、「抗告訴訟に限る」という条件があるので、無効確認等の訴えを提起することになる。

B なお本問において、抗告訴訟限定の条件がなければ「現在の法律関係に関する訴え」を提起し得るか。この点、換地処分は権利者相互に連鎖関連する性格を持つが故に、現在の法律関係に関する訴えは、換地処分の無効を理由とする紛争解決に適切ではなく、この場合、換地処分の無効確認を求める方が直截的で適切とする判例(土地改良法上の事案。最判昭和62年4月17日)を前提にすると、否定することになろうか。

正解は以下のようになろうか。
本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認の訴えを提起すべき。(38文字)

なお無効等確認訴訟で「取消原因にすぎない瑕疵」が主張された場合、請求は棄却される。本問については、塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)226−233頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)322−326頁参照。