■2019年行政書士試験・民法第7問(債権)

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■委任、事務管理(2019−33)【条文知識問題】

甲建物(以下「甲」という。)を所有するAが不在の間に台風が襲来し、甲の窓ガラスが破損したため、隣りに住むBがこれを取り換えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1) BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がない限り、Bは、Aに対して報酬を請求することができない。

2) BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bは、Aに対して窓ガラスを取り換えるために支出した費用を請求することができる。 3) BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bが自己の名において窓ガラスの取換えを業者Cに発注したときは、Bは、Aに対して自己に代わって代金をCに支払うことを請求することができる。

4) BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合においては、BがAの名において窓ガラスの取換えを業者Dに発注したとしても、Aの追認がない限り、Dは、Aに対してその請負契約に基づいて代金の支払を請求することはできない。

5) BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がなければ、窓ガラスを取り換えるに当たって、Bは、Aに対して事前にその費用の支払を請求することはできない。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 正しい。「BがAから甲の管理を頼まれていた」ということは、AB間には「事実行為」の委託、即ち準委任の関係が存在しているが、準委任、委任ともに特約がなければ受任者(B)は委任者(A)に対する「報酬請求権」を有しない(656条、新648条1項)。藤岡−磯村−浦川−松本『民法W債権各論』第3版補訂(2010年、有斐閣)182、186頁。

2) 正しい。1)と異なり、Bは「義務なくして他人の事務を始めた」のであるから、この場合は事務管理(697条1項)の問題である。事務管理において、管理者は費用の償還を本人に請求できる(702条1項と3項どちらを適用しても結論に変わりはない)。

3) 正しい。この場合も事務管理になるが、Bは本肢のような請求が可能である(702条2項、650条2項)。

4) 正しい。Bが本人Aの名前でした契約は、無権代理になるため、Aの追認がなければ当該契約の効力をAに帰属させることはできない。よってDはAに窓取替えにかかる代金を請求し得ない(113条1項。最判昭和36年11月30日)。この場合DはBに新117条1項の責任を追求することができ、BはAに702条1項に基づき、Bの債務の代弁済をAに請求することになる。前掲藤岡他389頁。

5) 誤り。よってこれが正解である。この場合AB間には委任関係が存するが、特約がなくとも受任者には委任者への費用前払請求権が認められている(649条)。