■2019年行政書士試験・民法第6問(債権)

行政書士合格講座2019年行政書士試験の問題解説>2019年行政書士試験・民法第6問(債権)

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■転貸借(2019−32)【判例問題】

建物が転貸された場合における賃貸人(建物の所有者)、賃借人(転貸人)および転借人の法律関係に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア) 賃貸人の承諾がある転貸において、賃貸人が当該建物を転借人に譲渡し、賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰属したときであっても、賃借人と転借人間に転貸借関係を消滅させる特別の合意がない限り、転貸借関係は当然には消滅しない。

イ) 賃貸人の承諾がある転貸において、賃借人による賃料の不払があったときは、賃貸人は、賃借人および転借人に対してその支払につき催告しなければ、原賃貸借を解除することができない。

ウ) 賃貸人の承諾がある転貸であっても、これにより賃貸人と転借人間に賃貸借契約が成立するわけではないので、賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することはできない。

エ) 無断転貸であっても、賃借人と転借人間においては転貸借は有効であるので、原賃貸借を解除しなければ、賃貸人は、転借人に対して所有権に基づく建物の明渡しを請求することはできない。

オ) 無断転貸において、賃貸人が転借人に建物の明渡しを請求したときは、転借人は建物を使用収益できなくなるおそれがあるので、賃借人が転借人に相当の担保を提供していない限り、転借人は、賃借人に対して転貸借の賃料の支払を拒絶できる。

1) ア)、イ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) ウ)、エ)
5) エ)、オ)

■解説

【難易度】やや難しい。

ア) 正しい。最判昭和35年6月23日。

イ) 誤り。この場合賃貸人は、転借人に本肢のような催告をしなくとも、賃借人との賃貸借契約を解除できるというのが判例である(最判昭和37年3月29日)。

ウ) 誤り。この場合転借人は、賃貸人に対し直接義務を負うことになる(新613条1項前段)。即ち賃貸人は、賃貸人の賃借人に対する賃料債権を、転借人が賃借人に負担する賃料の範囲内で、転借人にも行使できる。藤岡−磯村−浦川−松本『民法W債権各論』第3版補訂(2010年、有斐閣)129頁。

エ) 誤り。無断転貸は、賃貸人に対抗できないため(612条1項)、賃貸人は賃借人との契約を解除しなくとも、転借人に対し自己の所有権に基づく賃借物返還請求をなし得る。前掲藤岡他128頁。

オ) 正しい。賃貸権限を有しない賃借人から不動産を貸借した者(転借人)は、賃貸人から不動産の明渡を求められた場合には、貸借不動産を使用収益する権原を主張することができなくなるおそれが生じたため、(新)576条(559条参照)によって、明渡請求を受けた以後は、賃借人に対する賃料の支払を拒絶することができるというのが判例(最判昭和50年4月25日)である。

よって正解は2)となろうか。