■2019年行政書士試験・民法第4問(物権)

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■地役権他(2019−30)【条文知識問題】

A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。この場合における次のア)ーオ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア) Bが、甲土地に乙土地からの排水のための地役権をA・B間で設定し登記していた場合において、CがAに無断で甲土地に丙建物を築造してその建物の一部が乙土地からの排水の円滑な流れを阻害するときは、Bは、Cに対して地役権に基づき丙建物全部の収去および甲土地の明渡しを求めることができる。

イ) A・B間で、乙土地の眺望を確保するため、甲土地にいかなる工作物も築造しないことを内容とする地役権を設定し登記していた場合において、Cが賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造したときは、Bは地役権に基づき建物の収去を求めることができる。

ウ) 甲土地が乙土地を通らなければ公道に至ることができない、いわゆる袋地である場合において、Cが、Aとの地上権設定行為に基づいて甲土地に丙建物を建築し乙土地を通行しようとするときは、Cは、甲土地の所有者でないため、Bとの間で乙土地の通行利用のため賃貸借契約を結ぶ必要がある。

エ) Aは、自己の債務の担保として甲土地に抵当権を設定したが、それ以前に賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造していたCからAが当該抵当権の設定後に丙建物を買い受けた場合において、抵当権が実行されたときは、丙建物のために、地上権が甲土地の上に当然に発生する。

オ) Cが、地上権設定行為に基づいて甲土地上に丙建物を築造していたところ、期間の満了により地上権が消滅した場合において、Aが時価で丙建物を買い取る旨を申し出たときは、Cは、正当な事由がない限りこれを拒むことができない。

1) ア)、ウ)
2) ア)、オ)
3) イ)、エ)
4) イ)、オ)
5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。地役権の目的は土地利用の調節にあるため、地役権に基づく物権的請求権は、地役権者の必要の範囲内で、かつ承役地の利用の制限を最も少なくすべきと解されている。そのためこの場合、丙建物「全部」の収去甲土地の明渡しは認められない(排水を阻害する丙建物の「一部」についての物権的請求権が認められることになろうか)。淡路−鎌田−原田−稲熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)191頁。

イ) 正しい。地役権の目的たる「便益」(民法280条1項本文参照)には、このような眺望の確保ということも認められる。前掲淡路他188頁。

ウ) 誤り。この場合袋地(甲地)所有者は、公道に出るために甲地を囲む他の土地(囲繞地。乙地)を通行し得る(隣地通行権。210条)。ここで言う賃貸借契約は必要でない。

エ) 誤り。法定地上権(388条)の問題である。抵当権設定当時甲土地と丙建物の所有者が異なっているのだから、法定地上権はこの場合成立しない(抵当権「設定後」、土地建物が同一人に帰属しても成立しない。〔最判昭和44年2月14日〕。前掲淡路他271頁)。

オ) 正しい。269条1項。よって正解は4)のイ)、オ)となろう。