■2019年行政書士試験・憲法第2問

行政書士合格講座2019年行政書士試験の問題解説>2019年行政書士試験・憲法第2問

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■法の下の平等(2019−4)

家族・婚姻に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 嫡出でない子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定は、当該規定が補充的に機能する規定であることから本来は立法裁量が広く認められる事柄であるが、法律婚の保護という立法目的に照らすと著しく不合理であり、憲法に違反する。

2) 国籍法が血統主義を採用することには合理性があるが、日本国民との法律上の親子関係の存否に加え、日本との密接な結びつきの指標として一定の要件を設け、これを満たす場合に限り出生後の国籍取得を認めるとする立法目的には、合理的な根拠がないため不合理な差別に当たる。

3) 出生届に嫡出子または嫡出でない子の別を記載すべきものとする戸籍法の規定は、嫡出でない子について嫡出子との関係で不合理な差別的取扱いを定めたものであり、憲法に違反する。

4) 厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間(100日)を超えて女性の再婚を禁止する民法の規定は、婚姻および家族に関する事項について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超え、憲法に違反するに至った。

5) 夫婦となろうとする者の間の個々の協議の結果として夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占める状況は実質的に法の下の平等に違反する状態といいうるが、婚姻前の氏の通称使用が広く定着していることからすると、直ちに違憲とまではいえない。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 誤り。民法900条4号但書前段の合理性は、個人の尊厳と法の下の平等に照らし、非嫡出子の権利が不当に侵害されているかどうか観点から判断されるべきとし、法律婚の定着という事実はこの法律問題の結論に直ちに結びつかないとしたのが判例である。そして最高裁は、平成13年7月段階で民法900条4号但書の合理性は失われていたとし、憲法14条1項に反するとした(最大判平成25年9月4日)。民法900条4号但書前段はこの判決を受けて、同年12月の改正で削除となった。なお法律婚の強調はむしろ民法900条4号但書前段を合憲とすることになろう(旧判例〔最大決平成7年7月5日〕)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、有斐閣)136頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(2011年、成文堂)211頁。

2) 誤り。判例はここで言う立法目的自体の合理性は肯定している(最大判平成20年6月4日)。前掲芦部137頁、佐藤107−108頁。

3) 誤り。判例は、法律婚主義と戸籍事務処理上の便宜という点を理由に、ここで言う戸籍法の規定(49条2項1号)の合理性を肯定した(最判平成25年9月26日)。

4) 正しい。最大判平成27年12月16日。この判決にそうべく判決の翌年民法733条は改正された。

5) 誤り。民法750条は、文言上性別に基づく法的な差別取扱を規定している訳でなく、「個々の協議の結果として夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占める状況」が認められるとしても、それは同条の規定のあり方自体から生じたわけではないとして、民法750条は憲法14条1項に反しないとしたのが判例である(最大判平成27年12月16日)。