■2019年行政書士試験・行政救済法第9問

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■行政事件訴訟法(2009−26)【判例問題】

国公立学校をめぐる行政法上の問題に関する次のア)−エ)の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア) 公立高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分または退学処分を行うかどうかの判断は、校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものであり、裁判所がその処分の適否を審査するに当たっては、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべきである。

イ) 公立中学校教員を同一市内の他の中学校に転任させる処分は、仮にそれが被処分者の法律上の地位に何ら不利益な変更を及ぼすものではないとしても、その名誉につき重大な損害が生じるおそれがある場合は、そのことを理由に当該処分の取消しを求める法律上の利益が認められる。

ウ) 公立学校の儀式的行事における教育公務員としての職務の遂行の在り方に関し校長が教職員に対して発した職務命令は、教職員個人の身分や勤務条件に係る権利義務に直接影響を及ぼすものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。

エ) 国公立大学が専攻科修了の認定をしないことは、一般市民としての学生が国公立大学の利用を拒否することにほかならず、一般市民として有する公の施設を利する権利を侵害するものであるから、専攻科修了の認定、不認定に関する争いは司法審査の対象となる。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) イ)、ウ)
4) イ)、エ)
5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】やや難しい。エ)が微妙に引っ掛けとなっている肢である。

ア) 誤り。裁判所が退学処分を行うかどうかの判断は、「校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものであり、裁判所がその処分の適否を審査するに当たっては、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべき」ではなく、校長による処分が「全く事実の基礎を欠くか又は社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法であると判断すべき」というのが判例である(剣道実技事件判決。平成8年3月8日)。櫻井敬子ー橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)119頁参照。

イ) 誤り。当該処分については「被処分者の法律上の地位に何ら不利益な変更を及ぼすものではない」ことを理由に、訴えの利益を否定したのが判例である(最判昭和61年10月23日)。「係争処分が原告の法律上の地位に対して不利益を与えるものでなければ、取消訴訟の訴えの利益は否定される」(前掲櫻井他291頁)。

ウ) 正しい。教職員国旗国家訴訟判決(最判平成24年2月9日)。前掲櫻井他355頁。

エ) 正しい。富山大学事件(最判昭和52年3月15日)である。「単位認定行為」と「専攻科修了の要件を具備したのにその認定をしないこと」を区別すること。前者は「法律上の争訟性を充たすが、司法権の限界として司法審査の対象にならないもの」である。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、有斐閣)336頁。なお肢の「一般市民としての学生が国公立大学の利用を拒否することにほかならず」は、「拒否されることにほかならず」に訂正しないと意味が通じないだろう。

よって正解は5)のウ)、エ)となろう。