■2019年行政書士試験・行政救済法第7問

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■損失補償(2019−20)【判例問題】

次の文章は、長期にわたる都市計画法上の建築制限に係る損失補償が請求された事件において、最高裁判所が下した判決に付された補足意見の一部である。空欄(ア)−(ウ)に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

私人の土地に対する都市計画法…に基づく建築制限が、それのみで直ちに憲法29条3項にいう私有財産を「公のために用ひる」ことにはならず、当然に同項にいう 「正当な補償」を必要とするものではないことは、原審のいうとおりである。しかし、(ア)を理由としてそのような制限が損失補償を伴うことなく認められるのは、あくまでも、その制限が都市計画の実現を担保するために必要不可欠であり、かつ、権利者に無補償での制限を受忍させることに合理的な理由があることを前提とした上でのことというべきであるから、そのような前提を欠く事態となった場合には、(イ)であることを理由に補償を拒むことは許されないものというべきである。そして、当該制限に対するこの意味での(ウ)を考えるに当たっては、制限の内容と同時に、制限の及ぶ期間が問題とされなければならないと考えられる…
(最三小判平成17年11月1日判例時報1928号25頁、藤田宙靖裁判官補足意見)

ア イ ウ
1) 公共の利益 都市計画制限  受忍限度
2) 通常受ける損失に該当すること 特別の犠牲 受忍限度
3) 通常受ける損失に該当すること 特別の犠牲 補償の要否
4) 財産権の内在的制約 特別の犠牲 補償の要否
5) 財産権の内在的制約 都市計画制限 賠償請求権の成否

■解説

正解は1)である。

まずイ)を考えてみる。ここに「特別の犠牲」を入れる、つまり「(イ特別の犠牲)であることを理由に補償を拒むことは許されないもの」とすると、文意が通らない。「特別の犠牲」理由なら補償をしなければならないのであって、補償を拒む云々という記述とうまくつながらないからである。ここで肢2)−4)は切り落とせる。

ウ)は、「受忍させる合理的理由がない場合補償を要する」という文脈を受けているので、「賠償」という言葉は入らない。ここで5)を切り落とせるので、1)が正解ということが分かる。

本問については、塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)390頁注1、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)396頁参照。