■2019年行政書士試験・行政法総論第3問

行政書士合格講座2019年行政書士試験の問題解説>2019年行政書士試験・行政法総論第3問

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■給付拒否(2019ー25)【判例問題】

上水道に関する次のア)−エ)の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア) 自然的条件において、取水源が貧困で現在の取水量を増加させることが困難である状況等があるとき、水道事業者としての市町村は、需要量が給水量を上回り水不足が生ずることのないように、もっぱら水の供給を保つという観点から水道水の需要の著しい増加を抑制するための施策をとることも、やむを得ない措置として許される。

イ) 行政指導として教育施設の充実に充てるために事業主に対して寄付金の納付を求めること自体は、強制にわたるなど事業主の任意性を損なうことがない限り、違法ということはできないが、水道の給水契約の締結等の拒否を背景として、その遵守を余儀なくさせることは、違法である。

ウ) 水道事業者である地方公共団体が、建築指導要綱に従わないことを理由に建築中のマンションの給水契約の拒否を行うことも、当該建築指導要綱を遵守させるために行政指導を継続する理由があるといった事情がある場合には、給水契約の拒否を行うについて水道法が定める「正当な理由」があるものとして適法なものとされる。

エ) 建築基準法に違反し、建築確認を受けずになされた増築部分につき、水道事業者である地方公共団体の職員が給水装置新設工事の申込書を返戻した場合、それが、当該申込みの受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、同法違反の状態を是正し、建築確認を受けた上で申込みをするよう一応の勧告をしたものにすぎないものであったとしても、かかる措置は、違法な拒否に当たる。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) イ)、ウ)
4) イ)、エ)
5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】やや難しい。便宜上行政法総論の問題に分類した。

ア) 正しい。最判平成11年1月21日。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)241頁、櫻井敬子ー橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)143ー144頁。

イ) 正しい。最判平成5年2月18日。前掲櫻井他143頁。

ウ) 誤り。行政指導に対する不協力は、ここでいう「正当の理由」に該当せず、水道事業業者が給水契約の締結を拒むことは許されないというのが判例(最決平成1年11月8日、武蔵野マンション事件)である。前掲櫻井他143頁、塩野241頁。

エ) 誤り。当該返戻は、「当該申込みの受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、同法違反の状態を是正し、建築確認を受けた上で申込みをするよう一応の勧告をしたものにすぎないもの」であり、その一方申込者はその1年半後、再度給水装置新設工事の申込をし、受理されるまでの間工事申込に付き何らの措置もせず放置していたのだから、当初の返戻措置は、申込の受理を違法に拒否したと言えず当該地方公共団体は損害賠償責任を負わないというのが判例である(最判昭和56年7月16日)。

よって正解は1のア)、イ)となろう。