■2019年行政書士試験・行政法総論第1問

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■行政上の義務履行確保手段(2019ー8)【条文知識問題】

行政上の義務の履行確保手段に関する次の記述のうち、法令および判例に照らし、正しいものはどれか。

1) 即時強制とは、非常の場合または危険切迫の場合において、行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合に、個別の法律や条例の定めにより行われる簡易な義務履行確保手段をいう。

2) 直接強制は、義務者の身体または財産に直接に実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものであり、代執行を補完するものとして、その手続が行政 代執行法に規定されている。

3) 行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は、「法律」により直接に命じられ、または「法律」に基づき行政庁により命じられる代替的作為義務に限られるが、ここにいう「法律」に条例は含まれない旨があわせて規定されているため、条例を根拠とする同種の義務の代執行については、別途、その根拠となる条例を定め る必要がある。

4) 行政上の秩序罰とは、行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して科される罰であるが、刑法上の罰ではないので、国の法律違反に対する秩序罰については、非訟事件手続法の定めるところにより、所定の裁判所によって科される。

5) 道路交通法に基づく違反行為に対する反則金の納付通知について不服がある場合は、被通知者において、刑事手続で無罪を主張するか、当該納付通知の取消訴訟を提起するかのいずれかを選択することができる。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。即時強制は「相手方に義務を課すことなく行政機関が直接に実力を行使して、もって、行政目的の実現を図る制度をいう」(塩野宏『行政法T』第5版〔2009年、有斐閣〕30−31頁)。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)183頁。

2) 誤り。直接強制は、行政代執行法に定めがあるのではなく、「すべて個別法の定めるところとされている」(前掲塩野235頁)。前掲櫻井他176頁。

3) 誤り。行政代執行法2条1項の「法律」には、地方自治体の条例も含まれる。よって代執行に際し別途根拠条例を必要とするわけではない。前掲塩野塩野232頁、

4) 正しい。秩序罰(過料)の定義に付き、前掲塩野250頁、櫻井他189頁。国の法律違反に対する秩序罰の徴収手続については非訟事件手続法119条以下、地方公共団体の条例、規則違反に対する秩序罰の徴収手続については地方自治法255条の3、231条の3。

5) 誤り。反則金納付の通告は取消訴訟の対象とならず、これを争う訴えは不適法となる。そして当該通告については、反則金を納付せず公訴の提起があった後その刑事訴訟内で争うべきというのが判例である(最判昭和57年7月15日)。前掲塩野248ー249頁、櫻井他188ー189頁。