■2018年行政書士試験・民法第5問(債権)

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■弁済(2018−31)【判例問題】

弁済に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1) 債務者が元本のほか利息および費用を支払うべき場合において、弁済として給付した金銭の額がその債務の全部を消滅させるのに足りないときは、債務者による充当の指定がない限り、これを順次に費用、利息および元本に充当しなければならない。

2) 同一の債権者に対して数個の金銭債務を負担する債務者が、弁済として給付した金銭の額が全ての債務を消滅させるのに足りない場合であって、債務者が充当の指定をしないときは、債権者が弁済を受領する時に充当の指定をすることができる が、債務者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。

3) 金銭債務を負担した債務者が、債権者の承諾を得て金銭の支払に代えて不動産を給付する場合において、代物弁済が成立するためには、債権者に所有権を移転させる旨の意思表示をするだけでは足りず、所有権移転登記がされなければならない。

4) 債権者があらかじめ弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をすれば債務不履行責任を免れるが、債権者において契約そのものの存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確と認められるときは、口頭の提供をしなくても同責任を免れる。

5) 債権者があらかじめ金銭債務の弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をした上で弁済の目的物を供託することにより、債務を消滅させることができる。

■解説

【難易度】やや難しい。民法改正に伴い解説に補足する(外部ブログ)。

1) 誤り。よってこれが正解である。民法488条の場合と異なり、「元本のほか利息および費用を支払うべき場合」は491条1項が優先する結果、費用、利息、元本の順に充当することになる。債務者により充当の順序を変更できるわけではない。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)233頁。

2) 正しい。488条1、2項。

3) 正しい。最判昭和39年11月26日。二重譲渡の危険性を避けるためである。前掲野村他236頁。なお「給付に代えて」(482条)という文言に注意。

4) 正しい。債権者が弁済の受領を拒む場合、弁済に必要な準備(「すぐに弁済できる状態」があればよい)をしたうえで口頭の提供をすれば債務不履行責任を免れるが(493条但書)、本肢のように債権者が契約そのものの存在を否定しているような場合、口頭の提供ですら不要とするのが判例である。前掲野村他219−220頁。

5) 正しい。大判大正10年4月30日。なお多数説は、債権者が受領拒絶している以上、弁済の提供を経ずにただちに供託(494条)し得ると解している。前掲野村他239頁。