■2018年行政書士試験・基礎法学第1問

行政書士合格講座2018年行政書士試験の問題解説>2018年行政書士試験・基礎法学第1問

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■法哲学、法思想史(2018−1)【理論問題】

次の文章の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

(本文は著作権法上の観点から非掲載とする。なお本文は、村上淳一『<法>の歴史』からの引用文である)。

ア イ ウ エ
1) 律令制 大陸法 ローマ 権利のための闘争
2) 律令制 判例法 ギリシア 犯罪と刑罰
3) 武家法 大陸法 ギリシア 近代国家における自由
4) 武家法 ゲルマン法 ガリア 法の精神
5) 律令制 ゲルマン法 ローマ ローマ人盛衰原因論

■解説

【難易度】普通。法学部(卒)生特にその中でも法哲学や法思想史の講義を履修している人なら、ものの数秒で解答できた筈である。

まず各肢のア)−ウ)に登場する語句については、高校レベルの社会科の知識があれば余裕で埋められるものであったため、解説を省略する。ア)から順に律令制、大陸法、ローマ(法)が入る。

エ) 権利のための闘争。法哲学者イェーリングの著作名を問うものだったが、『権利のための闘争』が入る。よって正解は1)となる。本問は、彼の著書を知ってさえいれば、エ)の検討だけで1)をマークできたのである。
イェーリングは、全体としては功利主義の立場に立ち、自由法運動、利益法学、法社会学、プラグマティズムに直接、間接にしろ影響を及ぼした学者である。団藤重光『法学の基礎』(1996年、有斐閣)285頁参照。この『権利のための闘争』以外の著書として、『ローマ法の精神』や『法における目的』がある。なお『<法>の歴史』の著者である村上淳一は、岩波文庫版『権利のための闘争』の翻訳者である。

あと2)−5)におけるエ)に登場する著作について解説しておく。

2)−エ) 『犯罪と刑罰』(ベッカリーア)。彼はこの中で法と道徳(宗教)の峻別や、死刑廃止論を説いた。前掲団藤12−13頁。

3)−エ) 『近代国家における自由』(ラスキ)。

4)−エ) 『法の精神』(モンテスキュー)。イギリスの政治組織やその運営に影響を受け三権分立論を説いた。なお彼が、裁判官不振の観点から「裁判官は『法律のことばを発する口』」と述べたのは有名である。前掲団藤199、274頁。

5)−エ) 『ローマ人盛衰原因論』(モンテスキュー)。彼はこの中で、歴史を動かす原因を探求し、歴史を「客観的必然性と人間の自由との闘争の過程と考えることによって宿命論を免れよう」と試みた。小笠原−小野−藤原『政治思想史』(1987年、有斐閣)179頁。