■2018年行政書士試験・行政救済法第9問

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■国家賠償法(2018−25)【判例問題】

道路等についての最高裁判所の判決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 道路の供用によって騒音や排気ガス等が生じ、当該道路の周辺住民に社会生活上受忍すべき限度を超える被害が生じていたとしても、このような供用に関連する瑕疵は、国家賠償法に定める「公の営造物の設置又は管理」上の瑕疵とはいえないから、道路管理者には国家賠償法上の責任は生じない。

2) 公図上は水路として表示されている公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての外観を全く喪失し、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合であっても、行政庁による明示の公用廃止が行われない限り、当該水路は取得時効の対象とはなり得ない。

3) 建築基準法の定める道路の指定は、一定の条件に合致する道を一律に指定する一括指定の方法でなされることもあるが、一括して指定する方法でした道路の指定であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであるから、当該指定は抗告訴訟の対象になる行政処分に当たる。

4) 運転者が原動機付自転車を運転中に、道路上に長時間放置してあった事故車両に衝突して死亡した事故が発生した場合であっても、道路上の自動車の放置は、国家賠償法に定める「公の営造物の設置又は管理」上の瑕疵とはいえないから、道路の管理費用を負担すべき県には国家賠償法に基づく責任は認められない。

5) 特別区の建築安全条例所定の接道要件が満たされていない建築物について、条例に基づいて区長の安全認定が行われた後に当該建築物の建築確認がされた場合であっても、後続処分たる建築確認の取消訴訟において、先行処分たる安全認定の違 法を主張することは許されない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。営造物自体に物理的な瑕疵がないことを前提に、営造物本来の利用者ではなく、第三者(近隣住民)との関係で瑕疵を認めるという供用関連瑕疵機能的瑕疵)も国家賠償法2条の瑕疵に該当するというのが判例である(平成7年7月7日。なお大阪空港訴訟判決〔最大判昭和56年12月16日〕も参照)。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)384頁以下、稲葉−人見−村上−前田『行政法』第4版(2018年、有斐閣)335頁。

2) 誤り。「公図上は水路として表示されている公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての外観を全く喪失し、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合」は、黙示の公用廃止がなされているとして、当該公物についての取得時効を認めるのが判例である(最判昭和51年12月24日)。前掲櫻井他35頁。

3) 正しい。最判平成14年1月17日。前掲櫻井他274−275頁、稲葉他230−231頁。

4) 誤り。道路上に故障車が「87時間」放置してあり、そこに夜間原動機付自転車が衝突、運転者が死亡した事案につき、判例は道路の安全性が著しく欠如していたことを理由に道路管理の瑕疵を肯定した(最判昭和50年7月25日)。前掲櫻井他382頁、稲葉他336頁。

5) 誤り。安全認定と建築確認の両者は、沿革上の一体性をもっておりまた同一目的に向けられたものである等を根拠に、この両者の間に違法性の承継を認める、即ち後続処分で先行処分の違法性を争うことを認めるのが判例である(最判平成21年11月17日)。前掲櫻井他90頁。