■2018年行政書士試験・行政救済法第8問

行政書士合格講座2018年行政書士試験の問題解説>2018年行政書士試験・行政救済法第8問

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■損失補償(2018−21)【条文知識問題】

道路用地の収用に係る損失補償に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 土地を収用することによって土地所有者が受ける損失は、当該道路を設置する起業者に代わり、収用裁決を行った収用委員会が所属する都道府県がこれを補償しなければならない。

2) 収用対象となる土地が当該道路に関する都市計画決定によって建築制限を受けている場合、当該土地の権利に対する補償の額は、近傍において同様の建築制限を受けている類地の取引価格を考慮して算定した価格に物価変動に応ずる修正率を乗じて得た額となる。

3) 収用対象の土地で商店が営まれている場合、商店の建築物の移転に要する費用は補償の対象となるが、その移転に伴う営業上の損失は補償の対象とはならない。

4) 収用対象とはなっていない土地について、隣地の収用によって必要となった盛土・切土に要する費用は損失補償の対象になるが、それにより通路・溝等の工作物が必要となったときは、当該工作物の新築に係る費用は補償の対象とはならない。

5) 収用対象の土地の所有者が収用委員会による裁決について不服を有する場合であって、不服の内容が損失の補償に関するものであるときは、土地所有者が提起すべき訴訟は当事者訴訟になる。

■解説

【難易度】普通。土地収用法プロパーの知識が問われる問題だが、正解となる肢を見つけるのはたやすい。

1) 誤り。ここでの「損失」は、起業者が補償しなければならない(土地収用法68条)。

2) 誤り。「同様の建築制限を受けている類地の取引価格」ではなく、「近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格」(71条)が基準となる。なお、建築制限が付いた土地を収用する場合、「建築制限を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格」(最判昭和48年10月18日)の補償を要するとする判例に注意。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)397頁、稲葉−人見−村上−前田『行政法』第4版(2018年、有斐閣)351頁。

3) 誤り。商店の建築物の移転費用(77条)、商店の移転に伴う営業上の損失(88条)共に損失補償の対象となる。前掲櫻井他398頁、稲葉他354頁。

4) 誤り。ここで言う「工作物の新築に係る費用」も補償の対象となる。93条1項。前掲稲葉他354頁。

5) 正しい。133条3項。形式的当事者訴訟である。本来はこの場合抗告訴訟によるべきところ、立法政策上、土地収用に係る「補償金額については、補償金の支払いに関係する当事者間で直接争う当事者訴訟による」(前掲櫻井他351頁)のが合理的であるとの判断が前提となっている。前掲稲葉他219頁。肢1解説参照。