■2018年行政書士試験・行政救済法第7問

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■国家賠償法(2018−20)【判例問題】

国家賠償法1条に関する次のア)−オ)の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア) 建築主事は、建築主の申請に係る建築物の計画について建築確認をするに当たり、建築主である個人の財産権を保護すべき職務上の法的義務を負うものではないから、仮に当該建築主の委託した建築士が行った構造計算書の偽装を見逃したとし ても、そもそもその点について職務上の法的義務違反も認められないことから、当該建築確認は国家賠償法1条1項の適用上違法にはならない。

イ) 警察官が交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に、逃走車両の走行により第三者が損害を被った場合において、当該追跡行為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否かについては、当該追跡の必要性、相当性に加え、当該第三者が被った損害の内容および性質ならびにその態様および程度などの諸要素を総合的に勘案して決せられるべきである。

ウ) 法令に基づく水俣病患者認定申請をした者が、相当期間内に応答処分されることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされないという利益は、内心の静穏な感情を害されない利益として、不法行為法上の保護の対象になるが、当該認定申請に対する不作為の違法を確認する判決が確定していたとしても、そのことから当然に、国家賠償法1条1項に係る不法行為の成立が認められるわけではない。

エ) 所得金額を過大に認定して行われた所得税の更正は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることとなるが、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、過失があるとの評価を受けることとなる。

オ) 公立学校における教師の教育活動も国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」に該当するから、学校事故において、例えば体育の授業において危険を伴う技術を指導する場合については、担当教師の指導において、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務が尽くされたかどうかが問題となる。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) イ)、オ)
4) ウ)、エ)
5) ウ)、オ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。判例は、建築主事が確認制度を通じて「建築主との関係でも、違法な建築物の出現を防止すべく一定の職務上の法的義務」即ち、建築主を含めた「国民の生命、健康及び財産の保護」を負うとしている(最判平成25年3月26日)。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)371頁、稲葉−人見−村上−前田『行政法』第4版(2018年、有斐閣)314−315頁。

イ) 誤り。パトカー追跡事件判決(最判昭和61年2月27日)である。判例はこの場合の判断基準について、追跡の必要性や相当性の検討を必要としているが、第三者の被った損害内容等については何もふれていない。前掲櫻井他370頁、稲葉他321頁。

ウ) 正しい。最判平成3年4月26日である。ここでは「不作為の違法確認訴訟における違法と、国家賠償法における違法性を峻別するという判断」が示されている。前掲櫻井他379頁、稲葉他324頁。

エ) 誤り。文章を「直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではなく」、に直すと正しいものになる(最判平成5年3月11日)。前掲櫻井他370頁、稲葉他311−312頁。

オ) 正しい。最判昭和62年2月6日。前掲櫻井他365頁、稲葉他321頁。

よって正解は5)のウ)、オ)となろう。