■2018年行政書士試験・行政救済法第10問

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■行政事件訴訟法(2018−26)【条文知識問題】

ある市立保育所の廃止に関する以下の会話を受けてCが論点を整理した次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

A:友人が居住している市で、 3つある市立保育所を廃止するための条例が制定されるらしいんだ。この場合、どうしたら、条例の制定を阻止できるのだろうか。

B:議会への働きかけも含めていろいろ考えられるけれども、その他、何らかの訴訟を提起することも考えられるね。

C:行政事件訴訟法と地方自治法を勉強するいい機会だから、すこし考えてみよう。

1) 特定の市立保育所のみを廃止する条例の効力を停止するために、当該条例の効力の停止の申立てのみを、それに対する抗告訴訟の提起の前に行うことができる。

2) 特定の市立保育所を廃止する条例の制定行為については、住民訴訟によってその差止めを求めることができる。

3) 条例の制定行為は、普通地方公共団体の議会が行う立法行為に属するが、一般的に抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されている。

4) 特定の市立保育所の廃止条例の制定に関する議決を阻止するため、一定数の選挙人の署名により、地方自治法上の直接請求をすることができる。

5) 処分の取消判決や執行停止の決定には第三者効が認められているため、市立保育所廃止条例の制定行為の適法性を抗告訴訟によって争うことには合理性がある。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。「処分の取消しの訴えの提起があつた場合において」、「裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる」(行政事件訴訟法25条2項本文)。つまり抗告訴訟の前に条例の効力の停止を求めることはできない。

2) 誤り。住民訴訟(地方自治法242条の2)は「公金の使い方」(財務会計)をチェックする制度であり(242条1項参照)、議会の立法行為を住民訴訟で差止めるという事は認められていない。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)54頁参照。稲葉−人見−村上−前田『行政法』第4版(2018年、有斐閣)219頁以下。

3) 誤り。条例の制定行為が「一般的に」行政処分に該当するわけではなく、判例は、制定行為が「行政処分と『実質的に同視できれば処分性を認める立場をとる」(最判平成21年11月26日)。前掲櫻井他274頁、稲葉他231頁以下。

4) 誤り。ここで問題となるのは条例の制定、改廃についての直接請求であるが(74条以下)、そもそもこれは条例を「制定しようとする議会の議決」を阻止するというものではない。

5) 正しい。最判平成21年11月26日。前掲櫻井他274頁、稲葉他231頁以下。