■2018年行政書士試験・法令記述式第1問

行政書士合格講座2018年行政書士試験の問題解説>2018年行政書士試験・法令記述式第1問

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■行政法(2018−44)【条文知識問題】

Xは、A県B市内において、農地を所有し、その土地において農業を営んできた。しかし、高齢のため農作業が困難となり、後継者もいないため、農地を太陽光発電施設として利用することを決めた。そのために必要な農地法4条1項所定のA県知事による農地転用許可を得るため、その経由機関とされているB市農業委員会の担当者と相談したところ、「B市内においては、太陽光発電のための農地転用は認められない。」として、申請用紙の交付を拒否された。そこで、Xは、インターネットから入手した申請用紙に必要事項を記入してA県知事宛ての農地転用許可の申請書を作成し、必要な添付書類とともにB市農業委員会に郵送した。ところが、これらの書類は、「この申請書は受理できません。」とするB市農業委員会の担当者名の通知を添えて返送されてきた。この場合、農地転用許可を得るため、Xは、いかなる被告に対し、どのような訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

(参照条文)
農地法
(農地の転用の制限)
第4条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(中略)の許可を受けなければならない。(以下略)
2 前項の許可を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農林水産省令で定める事項を記載した申請書を、農業委員会を経由して、都道府県知事等に提出しなければならない。
3 農業委員会は、前項の規定により申請書の提出があったときは、農林水産省令で定める期間内に、当該申請書に意見を付して、都道府県知事等に送付しなければならない。

■解説

【難易度】普通。

@「これらの書類は−中略−返送されてきた」。行政手続法は申請につき到達主義を採用し、不受理という行為を認めないことにしている(7条)。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)135頁。同条は、「申請そのものの受付拒否や返戻が違法であることを明確に示す趣旨」をもつため、B市農業委員会による、本件申請書類の不受理(実務上「返戻」と呼ばれる)は、違法と評価される。前掲櫻井他202頁、稲葉−人見−村上−前田『行政法』第4版(2018年、有斐閣)93頁。

A不作為の違法確認訴訟。この段階でBに対して不作為の違法確認訴訟(行政事件訴訟法)の提起が考えられが、これはあまり意味がない。Xが訴訟で勝利してもBによる不受理の違法が確定されるだけであり、転用申請につき不許可処分がなされ得るからである。前掲櫻井他326頁、稲葉他269−270頁。

B「農地転用許可を得るため」。Xは現実に転用許可を得るためには義務付け訴訟(3条6項2号、37条の3)を提起する必要がある。この場合、制度上同訴訟に「不作為の違法確認訴訟を併合提起」しなければならない(37条の3第3項1号)。「どのような訴訟を提起すべきか」についての解答はこの部分を論述することになる。

C「いかなる被告に対し」。農地法4条1項により、本件農地転用許可を出すのは都道府県知事なので、被告はA県知事(処分庁が所属する公共団体、即ち「A県」となる(11条1項1号、38条1項)。

解答としては以下のようになろうか。
A県を被告として、農地転用許可の義務付け訴訟に不作為の違法確認訴訟を併合して提起すべき。(43文字)

なお不作為の違法確認訴訟のみを記述し、義務付け訴訟にふれない場合は如何。これでも間違いではないので点数はついた筈だが、問題文の「農地転用許可を得るため」という指示からすると、満点はつかなかったかもしれない。