■2017年行政書士試験・法令科目多肢選択式第3問

行政書士合格講座2017年行政書士試験の問題解説>2017年行政書士試験・法令科目多肢選択式第3問

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■行政法(2017−43)【判例問題】

次の文章の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

行政救済制度としては、違法な行政行為の効力を争いその取消し等を求めるものとして行政上の不服申立手続及び抗告訴訟があり、違法な公権力の行使の結果生じた損害をてん補するものとして…(ア)請求がある。両者はその目的・要件・効果を異にしており、別個独立の手段として、あいまって行政救済を完全なものとしていると理解することができる。後者は、憲法17条を淵源とする制度であって歴史的意義を有し、被害者を実効的に救済する機能のみならず制裁的機能及び将来の違法行為を抑止するという機能を有している。

このように公務員の不法行為について国又は公共団体が…責任を負うという憲法上の原則及び(ア)請求が果たすべき機能をも考えると、違法な行政処分により被った損害について(ア)請求をするに際しては、あらかじめ当該行政処分についての取消し又は(イ)確認の判決を得なければならないものではないというべきである。この理は、金銭の徴収や給付を目的とする行政処分についても同じであって、これらについてのみ、法律関係を早期に安定させる利益を優先させなければならないという理由はない。

原審は、…固定資産税等の賦課決定のような行政処分については、過納金相当額を損害とする(ア)請求を許容すると、実質的に(ウ)の取消訴訟と同一の効果を生じさせることとなって、(ウ)等の不服申立方法・期間を制限した趣旨を潜脱することになり、(ウ)の(エ)をも否定することになる等として、(ウ)に(イ)原因がない場合は、それが適法に取り消されない限り、(ア)請求をすることは許されないとしている。しかしながら、効果を同じくするのは(ウ)が金銭の徴収を目的とする行政処分であるからにすぎず、(ウ)の(エ)と整合させるために法律上の根拠なくそのように異なった取扱いをすることは、相当でないと思われる。
(最一小判平成22年6月3日民集64巻4号1010頁・裁判官宮川光治の補足意見)

1) 不当 2) 損失補償 3) 授益処分 4) 撤回 5) 住民監査 6) 無効 7) 執行力 8) 強制徴収 9) 既判力 10) 課税処分 11) 国家賠償 12) 不存在 13) 取立 14) 形成力 15) 差止 16) 支払 17) 不作為 18) 不可変更力 19) 通知 20) 公定力

■解説

【難易度】普通。ウとエが入れにくかったかもしれない。

ア) 11)「国家賠償」。「違法な公権力の行使の結果生じた損害をてん補するもの」という記述や、「憲法17条を淵源とする制度」という記述を手掛かりに、(ア)には「国家賠償」を入れることになる。

イ) 6)「無効」。「違法な行政処分により被った損害について国家賠償請求をするに際しては、あらかじめ当該行政処分についての取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない」(最判昭和36年4月21日)。これは過去頻出の判例である。

ウ) 10)「課税処分」。問題は前記昭和36年判例の趣旨を課税処分にまで及ぼせるか否か、である。ここでは例えば「課税処分(甲)に基づいて租税(X円)を納めたが甲が取消うべき瑕疵を有しているという場合、甲を取消さなければ国家賠償訴訟を提起できないか、それとも甲を取消さなくとも国家賠償訴訟でX円を請求できるか」が問題となる。また甲に不可争力が発生した後、国家賠償訴訟でX円を請求する場合も同様の問題を生ずる。そしてこれを否定したのが本平成22年判例の原審である。もしこのような国家賠償訴訟を肯定すると、「税法上用意された特別な不服申立や行政事件訴訟の仕組みが実質的に無意味になってしまいかねない」からである。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)87頁。

エ) 20)「公定力」。しかしながら国家賠償訴訟一般において公定力を否定しておきながら(前期昭和36年参照)、租税事件には肯定するという立場は批判を招きかねない。これに対して地方税法が予定する不服申立を経ることなく、固定資産税に係る加納金相当額つき国家賠償請求ができるとしたのが本件冷凍倉庫事件判決である。この判決は、「租税事件についてもあらかじめ取消訴訟を提起しなくとも国家賠償請求訴訟が可能であるとする判断」を示したものと理解されている。前掲櫻井他87−88頁。
なお(エ)には、「適法に取り消されない限り」という記述を手掛かりに「公定力」を入れることになる。