■2017年行政書士試験・法令科目多肢選択式第1問

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■憲法(2017−41)【判例問題】

次の文章の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

その保障の根拠に照らして考えるならば、表現の自由といつても、そこにやはり一定の限界があることを否定し難い。(ア)が真実に反する場合、そのすべての言論を保護する必要性・有益性のないこともまた認めざるをえないのである。特に、その(ア)が真実に反するものであつて、他人の(イ)としての名誉を侵害・毀損する場合においては、(イ)の保護の観点からも、この点の考慮が要請されるわけである。

私は、その限界は以下のところにあると考える。すなわち、表現の事前規制は、事後規制の場合に比して格段の慎重さが求められるのであり、名誉の侵害・毀損の被害者が公務員、公選による公職の候補者等の(ウ)人物であつて、その(ア)が(ウ)問題に関する場合には、表現にかかる事実が真実に反していてもたやすく規制の対象とすべきではない。

しかし、その表現行為がいわゆる(エ)をもつてされた場合、換言すれば、表現にかかる事実が真実に反し虚偽であることを知りながらその行為に及んだとき又は虚偽であるか否かを無謀にも無視して表現行為に踏み切つた場合には、表現の自由の優越的保障は後退し、その保護を主張しえないものと考える。けだし、右の場合には、故意に虚偽の情報を流すか、(ア)の真実性に無関心であつたものというべく、表現の自由の優越を保障した憲法二一条の根拠に鑑み、かかる表現行為を保護する必要性・有益性はないと考えられるからである。
(最大判昭和61年6月11日民集40巻4号872頁・裁判官谷口正孝の補足意見)

1) 差別的表現 2) 不公正な論評 3) 私的領域 4) 相当な誤信 5) 公益的 6) 社会的 7) 人物評価 8) 自己決定権 9) 公的 10) 誹謗中傷 11) 表現手段 12) ダブル・スタンダード 13) 公的領域 14) 公知の 15) 自己実現 16) 明白かつ現在の危険 17) 人格権 18) 論争的 19) 現実の悪意 20) 表現内容

■解説

【難易度】普通。北方ジャーナル事件谷口意見(現実的悪意の理論)からの出題である。現実的悪意の理論は、行政書士試験では初出題である。

ア) 20)「表現内容」。「その(ア)が真実に反するものであつて、他人の(イ)としての名誉を侵害・毀損する場合」即ち真実に反する(ア)が他人の名誉を棄損するという記述から判断して、(ア)には「表現内容」を入れることになる。

イ) 17)「人格権」。「名誉」も人格権の一種として考えられる。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)123頁注。

ウ) 9)「公的」。ここからが谷口意見による「現実的悪意の理論」の主張となる。現実的悪意の理論は、米連邦最高裁判所がサリバン判決(1964年)で打ち出した理論である。なおこの理論に言う「公的人物」には、公務員ばかりでなく「社会的に著名な人」も含む点注意。芦部信喜『憲法判例を読む』(1987年、岩波書店)200−202頁。

エ) 19)「現実の悪意」。なお本来の現実的悪意の理論は、「表現にかかる事実が真実に反し虚偽であることを知りながらその行為に及んだとき又は虚偽であるか否かを無謀にも無視して表現行為に踏み切つた」か否かを、刑事事件であれば「検察官が立証」しなければならないというものである点に注意。前掲芦部201頁。