■2017年行政書士試験・民法第6問(債権)

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■連帯債務(2017−32)【条文知識問題】

共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1000万円の貸金債務(以下「本件貸金債務」という。)を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。この事実を前提とする次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか(民法改正に伴い問題文の修正がある。修正については下の「解説」より飛べるリンク先参照)。

1) 本件貸金債務につき、融資を受けるに際してAが要素の錯誤に陥っており、錯誤に基づく無効を主張してこれが認められた場合であっても、これによってBが債務を免れることはない。

2) 本件貸金債務につき、A・C間の更改により、AがCに対して甲建物を給付する債務に変更した場合、Bは本件貸金債務を免れる。

3) 本件貸金債務につき、弁済期到来後にAがCに対して弁済の猶予を求め、その後更に期間が経過して、弁済期の到来から起算して時効期間が満了した場合に、Bは、Cに対して消滅時効を援用することはできない。

4) 本件貸金債務につき、Cから履行を求められたAが、あらかじめその旨をBに通知することなくCに弁済した。その当時、BはCに対して500万円の金銭債権を有しており、既にその弁済期が到来していた場合、BはAから500万円を求償された としても相殺をもって対抗することができる。

5) 本件貸金債務につき、AがCに弁済した後にBに対してその旨を通知しなかったため、Bは、これを知らずに、Aに対して事前に弁済する旨の通知をして、Cに弁済した。この場合に、Bは、Aの求償を拒み、自己がAに対して500万円を求償することができる。

■解説

【難易度】易しい。民法改正に伴う補足事項がある(外部ブログ)。

1) 正しい。民法433条。

2) 正しい。435条。更改は絶対的効力事由である。

3) 誤り。これが正解である。Aによる「弁済の猶予」は、債務者が債権者に対し債権の存在を認めるという、時効中断事由の1つである「承認」(147条3号)に該当する。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)241頁。そして434条から439条の場合を除き、「連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない」(440条)のであり、Aが自己の債務を承認してもそれはBに影響を及ぼすものではなく、弁済期到来後より起算し時効期間が完成すれば、Bは時効を援用できる。なお時効中断事由のうち(この場合Cからの)「請求」(147条1号)は絶対的効力事由である(434条)。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)136−137頁。

4) 正しい。443条1項前段。

5) 正しい。443条2項。