■2017年行政書士試験・民法第4問(物権)

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■占有の承継と取得時効(2017−30)【条文知識問題】

Aは、甲不動産をその占有者Bから購入し引渡しを受けていたが、実は甲不動産はC所有の不動産であった。BおよびAの占有の態様および期間に関する次の場合のうち、民法の規定および判例に照らし、Aが、自己の占有、または自己の占有にBの占有を併せた占有を主張しても甲不動産を時効取得できないものはどれか。

1) Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で10年間

2) Bが悪意で18年間、Aが善意無過失で2年間

3) Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で5年間

4) Bが善意無過失で7年間、Aが悪意で3年間

5) Bが善意無過失で3年間その後悪意となり2年間、Aが善意無過失で3年間その後悪意となり3年間

■解説

【難易度】普通。 占有は承継(特定承継〔売買等〕、包括承継〔相続等〕)によっても取得できる。そして本問のように不動産がBからAに譲渡された場合、Aは、自己の占有だけを主張できるしBの占有をも併せて主張できることになっている(民法187条1項)。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)251頁、淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)122頁参照。

1) 時効取得できる。Aは善意無過失で甲不動産を10年占有しているのだから、自己の占有の主張のみで甲不動産を時効取得できる(162条2項)。

2) 時効取得できる。A単独では取得時効のための期間を充たしていないが、AはBの占有を併せることで取得時効を主張し得る。但しこの場合Aは、Bの瑕疵悪意、有過失等)も承継するが(187条2項)、ABの占有期間は合算して20年なので162条1項により取得時効を主張し得る。

3) 時効取得できない。よってこれが正解である。まずA単独の占有期間だけでは取得時効を主張できない(Aだけの占有を主張する場合あと5年の占有を要する〔162条2項〕)。次にBの占有を併せる場合であってもBの瑕疵を承継する結果、取得時効の完成にはあと10年の占有を要するので(162条1項)、いずれにせよAは時効取得できない。

4) 時効取得できる。上の2つと異なり、最初の占有者善意無過失でその占有を悪意者が併合した場合だが、併合された占有はどうなるか。この点につき判例は、善意無過失の占有になるとする(最判昭和53年3月6日)。前掲山田他251頁、淡路他122頁。つまり占有主体に変更があっても「占有の開始の時」(162条2項)の占有者の状態で判断することになる。よってAは10年の取得時効(162条2項)を主張し得る。なおA単独の占有期間だけでは取得時効を主張できない。

5) 時効取得できる。善意無過失は「占有開始の段階」にあれば足りるので(162条2項。後に悪意になってもよい〔大判昭和5年11月7日〕)、BA共に善意(無過失)占有であり両者の時効期間を併合すると11年だから、Aは10年の取得時効(162条2項)を主張し得る。なおA単独の占有期間だけでは取得時効を主張できない。