■2017年行政書士試験・基礎法学第2問

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■法思想(2017−2)【理論問題】

次のア)−オ)の記述と、それらの記述が示す法思想等との組合せとして、最も適切なものはどれか。

ア) 法を現実に通用している制定法および慣習法等の実定法とする考え方

イ) 人身の自由および思想の自由等の人格的自由とともに経済的自由を最大限に尊重し、経済活動に対する法規制を最小限にとどめるべきであるとする考え方

ウ) 事物の本性や人間の尊厳に基づいて普遍的に妥当する法があるとする考え方

エ) 法制度の内容は、その基礎にある生産諸要素および経済的構造によって決定されるとし、私有財産制度も普遍的なものではなく、資本主義経済によって生み出されたとする考え方

オ) 法制度を経済学の手法を用いて分析し、特に効率性の観点から立法および法解釈のあり方を検討する考え方

ア イ ウ エ オ
1) パンデクテン法学 リベラリズム 自然法 社会主義法学 利益法学
2) 概念法学 リバタリアニズム パターナリズム コミュニタリアニズム 法と経済学
3) 法実証主義 リベラリズム 善きサマリア人の法 マルクス主義法学 利益法学
4) 概念法学 レッセ・フェール 善きサマリア人の法 コミュニタリアニズム ネオリベラリズム
5) 法実証主義 リバタリアニズム 自然法 マルクス主義法学 法と経済学

■解説

【難易度】難しい。法学部生、卒生で法哲学や法思想史を履修した人なら正解できたと思うが、それでも選択肢に登場する法思想をすべてきちんと説明するのはかなり困難なはずである。

ア) 「法実証主義」。団藤重光『法学の基礎』(1996年、有斐閣)295頁以下参照。なお「パンデクテン法学」とは、ローマ法を「継受」したドイツで生まれたものである。このパンデクテン法学は、「概念的・抽象的傾向」を有していたので、イエーリングといった批判者から「概念法学」と揶揄されるに至った経緯を持つ。前掲団藤262、303頁参照。

イ) 「リバタリアニズム」。リバタリアニズムは、「『福祉国家理念』への広範なコンセンサスを疑問視し、個人的自由と市場メカニズムの再評価を求める」立場である。田中成明他『法思想史』第2版(1997年、有斐閣)267頁。

ウ) 「自然法」。前掲団藤86−87頁。「法実証主義」はこの自然法を否定する立場をとる。なお「善きサマリア人の法」とは、聖書に出てくるもので事務管理の制度趣旨を考える際に問題となるものである。内田貴『民法U債権各論』初版(1997年、東大出版会)510頁参照。

エ) 「マルクス主義法学」。前掲田中他134頁。なおコミュニタリアニズム(共同体主義)とは、「現代社会のさまざまな病理現象がリベラルな個人主義的自由主義の正義論に起因するものであるとし、共同体の復権真に自律的・自覚的な主体による共同社会の建設を説く」立場である。前掲田中他272−273頁。

オ) 「法と経済学」。前掲田中他250頁以下。なお「利益法学」は、前述の概念法学や自由法学に対抗して主張されたものである。前掲田中他162頁以下参照。

よって正解は5)となろうか。