■2017年行政書士試験・憲法第4問

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■予算(2017−6)【理論問題】

次の文章の空欄( )に当てはまる語句(ア)と、本文末尾で述べられた考え方(イ)(現在でも通説とされる。)との組合せとして、妥当なものはどれか(旧漢字・旧仮名遣い等は適宜修正した。)。

法の形式はその生産方法によって決定せられる。生産者を異にし、生産手続を異にするに従って異る法の形式が生ずる。国家組織は近代に至っていよいよ複雑となって来たから、国法の形式もそれに応じていよいよ多様に分化してきた…。

すべて国庫金の支出は必ず予め定められた準則−これを実質的意味の予算または予算表と呼ぼう−にもとづいてなされることを要し、しかもその予定準則の定立には議会の同意を要することは、近代立憲政に通ずる大原則である。諸外国憲法はかくの如き予算表は「( )」の形式をとるべきものとなし、予算表の制定をもって「( )」の専属的所管に属せしめている。わが国ではこれと異り「( )」の外に「予算」という特殊な形式をみとめ、予算表の制定をもって「予算」の専属的所管に属せしめている。
(出典 宮澤俊義「憲法講義案」1936年から)

ア イ
1) 法律 予算法形式説
2) 法律 予算法律説
3) 議決 予算決定説
4) 命令 予算行政説
5) 議決 予算決算説

■解説

【難易度】易しい。2001年第36問と類似の問題である。戦前に書かれた宮沢の文章が引用されているので、奇をてらった出題のように思われるが、問題文を深読みせずとも、選択肢を見てこの中から予算について「現在でも通説とされる」説を選択すれば、それだけで本問は正解できた。

予算は政府の行為を規律する「法規範」であるが、その法的性質につき「法律の一種とみる」説(予算法律説)と「『予算』という独自の法形式である」とする説(予算法形式説)の対立がある。日本では、予算は一般国民を直接拘束せず、また提出権が内閣にあること(憲法73条5号)や衆議院の先議権があること(60条1項)を理由に、「予算を法律と異なる特殊の法形式」であると解するのが多数である。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)351−352頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)535−536頁。

本問は、外国(例えば米合衆国憲法1条9節7項)とは異なり、日本では「『( )』の外に「予算」という特殊な形式」を認めているという箇所を手掛かりに、括弧内にア)「法律」を入れ、更にイ)この主張をする学説として「予算法形式説」を選ぶことになる。正解は1)である。

なお予算行政説とは、「財政処理権能は本来的に行政と解し、予算は議会が政府の財政計画を承認する意思表示」と解する説である。この説に対しては、「財政処理権の源泉を国会におこうとする憲法の理念・構造にそぐわない」との批判がある。前掲佐藤535−536頁。