■2017年行政書士試験・憲法第2問

行政書士合格講座2017年行政書士試験の問題解説>2017年行政書士試験・憲法第2問

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■条例による財産権制限(2017−4)【判例問題】

次の記述は、ため池の堤とう(堤塘)の使用規制を行う条例により「ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有する者は、ため池の破損、決かい等に因る災害を未然に防止するため、その財産権の行使を殆んど全面的に禁止される」ことになった事件についての最高裁判所判決に関するものである。判決の論旨として妥当でないものはどれか。

1) 社会生活上のやむを得ない必要のゆえに、ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有する者は何人も、条例による制約を受忍する責務を負うというべきである。

2) ため池の破損、決かいの原因となるため池の堤とうの使用行為は、憲法でも、民法でも適法な財産権の行使として保障されていない。

3) 憲法、民法の保障する財産権の行使の埓外にある行為を条例をもって禁止、処罰しても憲法および法律に抵触またはこれを逸脱するものとはいえない。

4) 事柄によっては、国において法律で一律に定めることが困難または不適当なことがあり、その地方公共団体ごとに条例で定めることが容易かつ適切である。

5) 憲法29条2項は、財産権の内容を条例で定めることを禁じているが、その行使については条例で規制しても許される。

■解説

【難易度】やや難しい。

「条例による財産権制約の許否」が問題となった奈良県ため池条例事件(最大判昭和38年6月26日)からの出題である。

この論点につき、「財産権の内容と行使を区別し、前者は法律によらなければならないが、後者は条例によって規制可能」という説(「財産権の内容は−中略−法律でこれを定める」〔憲法29条2項〕参照)もあるが、財産権は条例によっても制約可能とする説が定着した。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)565−566頁。本問では上記少数説を述べる肢5)を切ることで正解に達する。

なおこの判決については、@上記「区別」をする説の「影響もうかがわせるいささか分かりにくい理由付け」をしているという点(前掲佐藤565−566頁)、A条例による財産権制約の可否について触れず、条例で禁止された堤塘の使用行為は「憲法、民法の保障する財産権の行使の埓外であるが故に条例でも制約できるとした点には注意しておきたい。佐藤功『日本国憲法概説』全訂第4版(学陽書房、1991年)548頁。