■2017年行政書士試験・行政手続法第2問

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■行政手続法(2017−12)【判例問題】

処分理由の提示に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 行政手続法が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接義務を課し、またはその権利を制限するという同処分の性質にかんがみたものであるから、行政手続法には、申請に対する拒否処分に関する理由の提示の定めはない。

2) 一級建築士免許取消処分をするに際し、行政庁が行政手続法に基づいて提示した理由が不十分であったとしても、行政手続法には理由の提示が不十分であった場合の処分の効果に関する規定は置かれていないから、その違法により裁判所は当該処分を取り消すことはできない。

3) 行政手続法は、不利益処分をする場合にはその名宛人に対し同時に当該不利益処分の理由を示さなければならないと定める一方、「当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合はこの限りでない。」としている。

4) 青色申告について行政庁が行った更正処分における理由附記の不備という違法は、同処分に対する審査裁決において処分理由が明らかにされた場合には、治癒され、更正処分の取消事由とはならない。

5) 情報公開条例に基づく公文書の非公開決定において、行政庁がその処分理由を通知している場合に、通知書に理由を附記した以上、行政庁が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することは許されない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。申請に対する拒否処分についても理由を示さなければならない(行政手続法8条1項本文)。

2) 誤り。当該免許取消の際、「いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって免許取消処分が選択されたのかを知ること」ができず、処分の原因事実と根拠法令の条文が示されただけであったという場合、それは、行政手続法14条1項の趣旨に照らし免許取消の理由提示として不十分なものであり、「本件免許取消処分は、同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって、取消しを免れない」というのが判例である(最判平成23年6月7日)。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)205頁。

3) 正しい。14条1項。

4) 誤り。「瑕疵の治癒」の問題だが、判例はこの場合瑕疵の治癒を認めない(最判昭和47年12月5日)。更正処分における理由付記は、処分理由を相手方に知らせ、不服申立の便宜を図ることをも目的としている以上、審査「裁決」の段階で理由が明らかになっても、相手方はそれ以前の審査手続において十分な理由主張ができないからである。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)165頁、前掲櫻井他95−96頁。

5) 誤り。処分時の理由を訴訟段階で差替えることを肯定するのが判例である(最判平成11年11月19日)。これについては、許されるとしても差替えが例外として許されない場合についての解釈論は残るとし、差替えの主張が処分の同一性を失わせ別個の処分と評価せざるを得ない事例についてまでは、許容されるべきではないとの主張がある。前掲塩野156頁以下、櫻井他300−301頁。