■2017年行政書士試験・行政法総論第3問

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■執行罰(2017−10)【理論問題】

執行罰に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 執行罰とは、行政上の義務の不履行について、罰金を科すことにより、義務の履行を促す制度であり、行政上の強制執行の一類型とされる。

2) 執行罰は、行政上の義務の履行確保のために科されるものであるが、行政機関の申立てにより、非訟事件手続法の定める手続に従って、裁判所の決定によって科される。

3) 執行罰は、刑罰ではないため、二重処罰の禁止の原則の適用はなく、同一の義務の不履行について、これを複数回にわたり科すことも認められる。

4) 執行罰については、それを認める一般法は存在せず、これを認める個別の法令の定めが必要であるが、行政代執行法は、執行罰の規定を条例で定めることも明文で許容している。

5) 執行罰は、多くの法令において、各種の届出義務などの軽微な手続上の義務への違反に科されることとされている。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。執行罰とは、「義務者にみずから義務を履行させるため、あらかじめ義務不履行の場合には過料を課すことを予告するとともに、義務不履行の場合にはそのつど過料を徴収することによって、義務の履行を促す間接強制の方法」(櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版〔2016年、弘文堂〕177頁)のことである。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)237頁。罰金を科すのは行政刑罰である。

2) 誤り。執行罰について規定する唯一の法律である砂防法は、執行罰による過料の徴収方法として「国税滞納処分の例に従う」旨規定する(38条)。非訟事件手続法によるのではない。

3) 正しい。前掲塩野237−238頁、櫻井他178頁。憲法39条、刑法9条参照。

4) 誤り。行政代執行法1条は「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる」と規定しているが、ここでの「法律」に「条例」は含まれるか。同法2条が「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)」と、「わざわざ条例に言及されていることと対比すると、1条の法律の中には、条例が含まれない」と解すべきことになる。つまり同法2条によって認められる代執行以外に、執行罰や直接強制を条例で課すことができない

5) 誤り。前述のとおり執行罰を定める現行法は1つしかないので、「多くの法令において」採用されているわけではない。本肢は、執行罰を「秩序罰」に置き換えるなら正しいものとなる。前掲塩野250頁、櫻井他189頁。