■2017年行政書士試験・行政法総論第2問

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■無効の行政行為(2017−9)【理論問題】

無効の行政行為に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 無効の行政行為については、それを争う訴訟として無効確認訴訟が法定されており、その無効を実質的当事者訴訟や民事訴訟において主張することは許されない。

2) 無効の行政行為については、それを取り消すことはできないから、たとえ出訴期間内であっても、それに対して提起された取消訴訟は不適法とされる。

3) 無効の行政行為については、当該処分の取消訴訟について、個別法に審査請求前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。

4) 無効の行政行為については、客観的に効力が認められないのであるから、その無効を主張する者は、何人でも、無効確認訴訟を提起して、これを争うことができる。

5) 無効の行政行為については、その執行は認められず、これを何人も無視できるから、無効確認訴訟には、仮の救済のための執行停止制度の準用はなされていない。

■解説

【難易度】やや難しい。行政救済法の問題だが便宜上総論の問題として扱う。

1) 誤り。無効の行政行為を争う無効確認訴訟が法定されているのはその通りだが(行政事件訴訟法3条4項、36条)、無効の行政行為については「実質的当事者訴訟や民事訴訟を提起すれば十分であり、故に行政事件訴訟法は無効確認訴訟につき原告適格を絞りその訴訟の補充性を明確にしているのである(櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版〔2016年、弘文堂〕366頁)。塩野宏『行政法U』第4版(2005年、有斐閣)195−196頁。

2) 誤り。無効の行政行為につき「取消訴訟」を提起した場合は如何。この場合取消訴訟は不適法却下となるわけではなく、当該行政行為の瑕疵の主張即ち「無効原因に当たる瑕疵が主張されても取消訴訟として審理すれば足りる」と解されている。取消訴訟も無効確認訴訟も「表見的に通用している行政行為の効果を排除しようとする点で共通しているので取消訴訟で扱えばよく、当該主張が立証できれば、請求は認容されることになる。前掲塩野202頁参照。

3) 正しい。38条は審査請求前置について定める8条1項但書を準用していない。

4) 誤り。「何人」も「無効確認訴訟」によって行政行為の無効を主張できるわけではない。前述のとおり、無効確認訴訟の原告適格には絞りが加えられている。前掲塩野195頁以下、櫻井他324頁以下。

5) 誤り。無効確認訴訟にも執行停止制度は準用されている(38条3項、25条)。