■2014年行政書士試験・民法2(債権)

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■保証債務(2014−31)【条文知識問題】

AがBから金1000万円を借り受けるにあたって、CおよびDがそれぞれAから委託を受けて保証人(連帯保証人ではない通常の保証人で、かつお互いに連帯しない保証人)となり、その後CがBに対して、主たる債務1000万円の全額を、同債務の弁済期日に弁済した。この場合に関する以下の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、CD間には負担部分に関する特段の合意がないものとする。

1) CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及び、Dに対しては、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。

2) CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及び、Dに対しては、500万円である。

3) CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。

4) CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。

5) CはDに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。

■解説

【難易度】やや難。

@ 弁済した保証人Cと主たる債務者Aとの関係。CはAの委託を受けた保証人だが、弁済によりCはAに対し求償権を取得し(459条1項)、その範囲は「弁済額」の他、「免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償」(459条2項、442条2項)となる。

A 弁済した保証人Cと他の保証人Dとの関係。本問は、単なる普通保証人が複数いる共同保証の事案であるが、この場合保証人間に分別の利益が認められるため、CDで500万円ずつ平等の割合で保証債務を負担することになる(456条、427条)。そしてCは負担部分以上の1000万円を弁済しているので、CはDに対し「利益を受けた限度」である500万(465条2項、462条1項)につき求償権を有する(利息、費用、損害賠償は含まない)。

よって正解は2) 「CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及び、Dに対しては、500万円である」となる。

本問については、野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)155、157、162−163頁参照。

■債務引受(2014−32)【判例問題】

債務引受および契約上の地位の譲渡(契約譲渡)に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア) 免責的債務引受は、債権者と引受人のみの契約でなすことはできず、債務者(原債務者)を含む三者間の契約でしなければならない。

イ) 併存的(重畳的)債務引受は、債務者(原債務者)の意思に反しても、債権者と引受人のみの契約でなすことができる。

ウ) 併存的(重畳的)債務引受があった場合、別段の意思表示がないときは、債務者(原債務者)と引受人は、債権者に対し、それぞれ等しい割合で分割債務を負う。

エ) 売主の地位や買主の地位の譲渡は、当該売買契約の相手方の承諾がないときは、その相手方に対して効力を生じない。

オ) 賃貸借の目的となっている不動産の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡することは、賃貸人の義務の移転を伴うから、賃借人の承諾を必要とし、新旧所有者間の契約ですることはできない。

1) ア)、ウ)

2) ア)、オ)

3) イ)、ウ)

4) イ)、エ)

5) エ)、オ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。免責的債務引受は、債権者、原債務者、引受人の三者間での契約は勿論、債権者と引受人との間の契約でもこれをなし得る(大判大正10年5月9日)。原債務者は債務を免れる利益を受けるのであるから、原債務者を除外して引受契約をしても不都合はないというのがその理由である。前掲野村他205頁。

イ) 正しい。併存的債務引受は、債権者、原債務者、引受人の三者間での契約は勿論、債権者と引受人との間の契約でもこれをなし得るし、原債務者の意思に反しても可能である(通説、判例)。併存的債務引受は保証的性格を持つが、保証が主たる債務者の意思に反してもなし得ることとの均衡上(462条2項参照)、このように解されている。前掲野村他207−208頁。

ウ) 誤り。併存的債務引受の場合、原債務者の債務はそのまま存続し、その債務と同一の債務を引受人は負うことになるが、この両者の債務について判例は連帯債務と解している。前掲野村他208頁。

エ) 正しい。譲渡人と承継人との間で契約上の地位を譲渡できるか。この点、売主や買主の地位の譲渡といったように、相手方の権利義務に与える影響が大きい場合は、売買契約の相手方の承認を必要とするというのが判例である(最判昭和30年9月29日)。前掲野村他210−211頁。

オ) 誤り。賃借人が対抗要件(605条、借地借家法10条1項、31条1項)を具備していれば、賃借人の承諾なしに賃貸人の地位を移転し得るというのが判例である(最判昭和46年4月23日)。前掲野村他211頁。

よって正解は4)となろう。

■債権の準占有者への弁済(2014−33)【判例問題】

債権の準占有者に対する弁済等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはいくつあるか。

ア) 他人名義の預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口でその代理人と称して銀行から払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となる。

イ) 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して、定期預金契約時になされた定期預金の期限前払戻特約に基づいて払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となる。

ウ) 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して銀行から定期預金を担保に融資を受けたが、弁済がなされなかったため、銀行が当該貸金債権と定期預金債権とを相殺した場合に、銀行が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該相殺は、債権の準占有者への弁済の規定の類推適用により有効な相殺となる。

エ) 債権者の被用者が債権者に無断でその印鑑を利用して受取証書を偽造して弁済を受けた場合であっても、他の事情と総合して当該被用者が債権の準占有者と認められるときには、債務者が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該弁済は、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となる。

オ) 債権が二重に譲渡され、一方の譲受人が第三者対抗要件を先に具備した場合に、債務者が、その譲受人に対する弁済の有効性について疑いを抱いてもやむをえない事情があるなど、対抗要件で劣後する譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当の理由があるときに、その劣後する譲受人に弁済すれば、当該弁済は、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となる。

1) 1つ

2) 2つ

3) 3つ

4) 4つ

5) 5つ

■解説

【難易度】難しい。

ア) 正しい。準占有は本来、「自己のためにする意思」を以て財産権を行使する場合(205条)を指すが、このように債権者の「代理人」や「使者」と称する者への弁済も、債権の準占有の規定によるというのが判例である(最判昭和42年12月21日)。また善意無過失という主観的要件についての説明も正しい(最判昭和41年10月4日)。前掲野村他230頁。

イ) 正しい。このような期限前の払戻も商慣習上満期の払戻に並ぶ弁済に該当し、478条の適用があるというのが判例である(最判昭和41年10月4日)。前掲野村他231頁。

ウ) 正しい。預金証書の所持人に、その預金債権と相殺する予定で貸し付けを行った場合にも、478条が類推適用されるというのが判例である(昭和48年3月27日)。前掲野村他231頁。

エ) 正しい。受取証書持参人は、弁済を受領する権限があったものとみなされるが(480条本文)、この受取証書は真正に作成されたものでなければならないので、この場合同条の適用はない(通説、大判明治41年1月3日)。但し「偽造」の受取証書に基づいて債権を行使し受領した場合、債権の準占有者への弁済として有効になる場合もある(大判昭和2年6月22日)。前掲野村他232頁。

オ) 正しい。債権の二重譲渡においてこのような相当の理由がある場合、467条2項所定の対抗要件に付き劣後する譲受人に対してされた弁済についても、478条の適用があるというのが判例である(最判昭和61年4月11日)。

よって正解は5)の5つとなろう。

■不法行為(2014−34)【判例問題】

生命侵害等に対する近親者の損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 他人の不法行為により夫が即死した場合には、その妻は、相続によって夫の逸失利益について損害賠償請求権を行使することはできない。

2) 他人の不法行為により夫が死亡した場合には、その妻は、相続によって夫本人の慰謝料請求権を行使できるので、妻には固有の慰謝料請求権は認められていない。

3) 他人の不法行為により、夫が慰謝料請求権を行使する意思を表明しないまま死亡した場合には、その妻は、相続によって夫の慰謝料請求権を行使することはできない。

4) 他人の不法行為により死亡した被害者の父母、配偶者、子以外の者であっても、被害者との間にそれらの親族と実質的に同視し得る身分関係が存在するため被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた場合には、その者は、加害者に対して直接固有の慰謝料請求をすることができる。

5) 他人の不法行為により子が重い傷害を受けたために、当該子が死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛をその両親が受けた場合でも、被害者本人は生存しており本人に慰謝料請求権が認められるので、両親には固有の慰謝料請求権は認められていない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。被害者死亡の場合、その近親者に認められる慰謝請求権とは別に、死亡自体の損害につき精神的損害であれ財産的損害(逸失利益)であれ、被害者自体が損害賠償請求権を取得し、それが相続人に承継されるというのが確立した判例である(被害者即死の場合も同様。大判大正15年2月16日)。藤岡−磯村−浦河−松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)354頁。

2) 誤り。711条は、一定範囲の近親者に対し遺族固有の慰謝料請求権を付与したものと解されているが、ここでの近親者には妻も含まれている。前掲藤岡他352−353頁。

3) 誤り。被害者である夫が有していた慰謝料請求権について、その死亡後相続人は当然に慰謝料請求権を相続する(当然相続説)というのが判例である(最大判昭和42年11月1日)。前掲藤岡他355頁。

4) 正しい。慰謝料請求権者を711条所定以外の者に拡張してよいかが問題となるが、判例は、死亡した妻と同居していた夫の妹(身障者)に、711条を類推し慰謝料請求権を認めた(最判昭和49年12月17日)。前掲藤岡他353頁。

5) 誤り。この場合被害者本人は「生存」しているので、「生命侵害」を前提とする711条の適用は認められないが、判例は、両親が生命侵害にも等しい精神的苦痛を受けた場合につき慰謝料請求を容認した(最判昭和33年8月5日。709、710条)。前掲藤岡他353頁。