■2014年行政書士試験・行政組織法

行政書士合格講座行政書士試験の過去問分析>2014年行政書士試験・行政組織法



このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■公務員法(2014−24)【条文知識問題】

国家公務員と地方公務員との相違について、妥当な記述はどれか。

1) 国家公務員については、国家公務員法に、原則として日本国籍を有する者のみを任用する旨の規定があるが、地方公務員については、地方公務員法に、類似の明文規定は設けられていない。

2) 国家公務員による争議行為は、一般的に禁止されているが、地方公務員による争議行為は、地方公務員法上、単純な労務に従事する職員について、一定の範囲で認められている

3) 国家公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、国家公務員法およびその委任を受けた人事院規則により定められるが、地方公務員については、地方公務員法および条例により定められる。

4) 国家公務員の給与や勤務条件の基準は、法律によって定められることとされているが、地方公務員の給与や勤務条件の基準は、議会の同意を得て長によって定められることとされている。

5) 国家公務員については、職員団体の結成のみが認められているが、地方公務員については、警察職員および消防職員を除き、労働組合法に基づく労働組合の結成が認められている。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 誤り。国家公務員法、地方公務員法共にこのような国籍保持についての規定はない。

2) 誤り。争議権は国家公務員、地方公務員共に否定されている(国家公務員法98条2項、地方公務員法37条1項)。

3) 正しい。国家公務員法102条、同条1項、地方公務員法36条、同条2項5号。

4) 誤り。公務員の給与、勤務条件の基準については法令による(勤務条件法定主義)が、地方公務員の給与や勤務条件は条例で定めることになっている(地方公務員法24条6項)。なお国家公務員の給与や勤務条件については、国家公務員法28条、63条、106条1項等参照。塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)229頁以下参照。

5) 誤り。地方公務員は国家公務員と同様、労働組合法の適用が除外されており(国家公務員法附則16条、地方公務員法58条1項)、団結権としては職員団体の結成のみ認められている(国家公務員法108条の2第3項、地方公務員法52条3項)。

■行政手続法他(2015−25)【条文知識問題】

鉄道事業者Xが輸送の安全対策を疎かにして多数の鉄道事故を引き起こしたことから、Y(国土交通大臣)はXに対して鉄道事業法に基づく事業改善命令を行うとともに(法23条)、Xの安全統括管理者(鉄道事業者が、輸送安全に関する業務を統括管理させるため、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあり、かつ、鉄道事業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備える者のうちから選任する者をいう)の解任を命じることとした(法18条の3第7項)*。この事例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、鉄道事業法には、行政手続や訴訟に関する特段の定めはない。

(注)*鉄道事業法18条の3第7項 国土交通大臣は、安全統括管理者又は運転管理者がその職務を怠つた場合であつて、当該安全統括管理者又は運転管理者が引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、鉄道事業者に対し、当該安全統括管理者又は運転管理者を解任すべきことを命ずることができる。

1) Yが事業改善命令を行うに際して、当該命令が許認可の取消しに相当するほど重大な損害をXに与える場合には、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞を実施しなければならない。

2) Yが事業改善命令を行うに際して、公益上、緊急にこれをする必要がある場合には、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞に換えて、より簡易な手続である弁明の機会の付与の手続をとらなければならない。

3) Yが業務改善命令を行わない旨を決定した場合、それによって安全を脅かされる利用者は、これに対して取消訴訟を提起することができる。

4) Yが安全統括管理者の解任命令を行った場合、Xの法的地位が侵害されるわけではないから、Xには当該命令に対する取消訴訟を提起する原告適格は認められない。

5) Yが安全統括管理者の解任命令を行うに際しては、当該命令は許認可の取消しには当たらないものの、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞を実施しなければならない。

■解説

【難易度】やや難しい。問題が長文で特殊なものの、問題の内容自体は行政手続法と行政事件訴訟法の知識問題である。

1) 誤り。行政手続法上聴聞が要求されているのは、@ 許認可等を取消す不利益処分、A 名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分、B 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分、C @−B以外で行政庁が相当と認めるとき、の4つである(13条1項1号イ−ニ)。鉄道事業法の「事業改善命令」は、@−Cのいずれにも該当しないので、この命令を行うに際して「聴聞」は必要とされない。

2) 誤り。当該事業改善命令自体は「不利益処分」であるので、これをなすにあたり弁明の機会を付与することが必要だが(13条1項2号)、このような緊急の必要がある場合、聴聞、弁明の機会の両手続を省略することができる(13条2項1号)。

3) 誤り。この場合、原告適格の有無は別段として、提起すべき訴訟は取消訴訟ではなく義務付けの訴え(行政事件訴訟法3条6項)になろう。

4) 誤り。鉄道事業法18条の3第7項の条文にあるように、解任命令は「鉄道事業者に対し」出される処分だから、鉄道事業者Xは、解任命令について取消訴訟を提起する原告適格を有すると解されよう。

5) 正しい。行政手続法13条1項1号ハ。

■住民基本台帳法の届出手続(2014−26)【判例問題】

市町村に転入した者は市町村長に届出なければならないこととされているが、この転入の届出について、妥当な記述はどれか。争いがあれば、最高裁判所の判例による。

1) 転入届については、届出書の提出により届出がなされたものと扱われ、市町村長は、居住の実態がないといった理由で、その受理を拒否することは許されない。

2) 転入届を受理せずに住民票を作成しないことは、事実上の取扱いに過ぎず、行政処分には該当しないから、届出をした者は、これを処分取消訴訟により争うことはできない。

3) 正当な理由なく転入届を所定の期間内にしなかった者に科される過料は、行政上の秩序罰であり、非訟事件手続法の手続により裁判所により科される。

4) 転入により、地域の秩序が破壊され住民の安全が害されるような特別の事情がある場合には、市町村長は、緊急の措置として、転入届の受理を拒否することができる。

5) 転入届に基づき作成された住民票が市町村長により職権で消除された場合、消除の効力を停止しても、消除された住民票が復活するわけではないから、消除をうけた者には、その効力の停止を申し立てる利益はない。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 誤り。住民基本台帳法上の「転入届があった場合には、その者に新たに当該市町村(指定都市にあっては区)の区域内に住所を定めた事実があれば、法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として転入届を受理しないことは許されず、住民票を作成しなければならない」というのが判例(最判平成15年6月26日)である。よって「住所を定めた事実がなければ」「転入届を受理しないことは許される」ということになろうか。

2) 誤り。最判平成15年6月26日は、転入届の不受理を処分であることを前提に処理している。よってこれを取消訴訟で争うことは可能であると解されよう。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)312頁。

3) 正しい。住民基本台帳法22条1項、53条2項、54条。前掲塩野250頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)189−190頁。

4) 誤り。このような拒否は、実定法上の根拠を欠くというのが判例である(平成15年6月26日)。

5) 誤り。ある宗教団体への所属を理由に、転入届に基づき作成した住民票の職権消除と転入届を無効とした区長の行為が争われた事案だが、判例は、消除処分により「抗告人に回復困難な損害が生ずるおそれ」および「これを避けるため緊急の必要」があるとして、消除処分執行停止の申立を肯定した(最決平成13年6月14日)。