■2014年行政書士試験・行政救済法1

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■行政不服審査法、行政事件訴訟法(2014−14)【条文知識問題】

行政不服審査法に基づく審査請求の裁決と取消訴訟との関係について、妥当な記述はどれか。

1) 審査請求の裁決に不服がある審査請求人は、これに対して取消訴訟を提起して争うことができるが、それ以外の者は、裁決に不服があっても取消訴訟を提起することはできない。

2) 違法な処分に対する審査請求について、審査庁が誤って棄却する裁決をした場合、審査請求人は、裁決取消訴訟により、元の処分が違法であったことを理由として、棄却裁決の取消しを求めることができる。

3) 審査請求の裁決には理由を付さなければならないが、付された理由が不十分であったとしても、裁決に対する取消訴訟において、理由の記載の不備のみのために裁決が取消されることはない。

4)適法な審査請求が審査庁により誤って却下された場合には、審査請求の前置が取消訴訟の訴訟要件とされていても、審査請求人は、審査請求に対する実体的な裁決を経ることなく、元の処分に対する取消訴訟を提起できる。

5) 処分に対して審査請求がなされた場合においても、当該処分の取消訴訟の出訴期間については、当該処分を知った日の翌日が起算日とされ、この期間が経過すれば、審査請求の手続の途中でも、当該処分に不可争力が生じる。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。裁決の取消訴訟は、処分の取消訴訟と同じく、裁決や処分の相手方に限らず−ここでいう「それ以外の者」でも−「処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法9条1項)であれば提起可能である。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)129頁以下、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5(2016年、弘文堂)280頁以下。

2) 誤り。裁決の取消訴訟において、元の処分の違法性を理由とした取消の主張は認められない(10条2項、原処分主義)。前掲塩野94頁、櫻井他263頁。

3) 誤り。審査請求の裁決に付された理由が不十分ということは、審査決定手続に違法がある場合と同様に、判決による取消を免れないというのが判例である(最判昭和37年12月26日)。前掲塩野39頁。

4) 正しい。このような場合、行政庁は処分の正当性を再度審査する機会を与えられながらそれをしなかったのだから、この場合は「審査請求を経たもの」として扱うのが合理的である(最判昭和36年7月21日)。なお不服申立前置を果たしたとは、「適法な不服審査を経たこと」を指すので(8条1項但書参照)、審査請求が「不適法」却下された場合は前置を果たしたとは言えない。前掲塩野102頁。

5) 誤り。取消訴訟の出訴期間は、原則「処分又は裁決があったことを知った日から6箇月」(14条1項)であるが、処分に対し審査請求をした場合は、審査請求に対する「裁決があったことを知った日から6箇月を経過したとき又は当該裁決の日から1年」(3項)となるので、この肢の言うような不可争力の発生は起こらない。

■行政不服審査法(2014−15)【条文知識問題】

行政不服審査法に基づく審査請求の教示義務に関する次のア)−エ)の記述のうち、正しいものの組合せはどれか(法改正に伴い記述を改めた)。

ア) 行政庁は、審査請求ができる処分をするときは、処分の相手方に対し、審査請求ができる旨、審査請求すべき行政庁、審査請求期間、審査請求書に記載すべき事項を教示しなければならない。

イ) 処分庁が誤って審査請求すべき行政庁でない行政庁を教示し、当該行政庁に審査請求書が提出された場合、当該行政庁は処分庁または本来の審査請求すべき行政庁に審査請求書を送付しなければならない。

ウ) 行政庁は、処分の相手方以外の利害関係者から当該処分が審査請求のできる処分であるか否かについて教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。

エ) 処分庁が審査請求書に記載すべき事項を誤って教示し、それに沿った審査請求書が提出されたときは、審査請求を受けた行政庁は、審査請求をした者に期限を定めて補正を求めなければならない。

1) ア)、イ)

2) ア)、エ)

3) イ)、ウ)

4) イ)、エ)

5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。「審査請求書に記載すべき事項」の教示は必要でない(行政不服審査法82条1項本文)。

イ) 正しい。22条1項。

ウ) 正しい。82条2項。

エ) 誤り。このような規定はない。

よって正解は3)となろう。

■行政事件訴訟法(2014−16)【条文知識問題】

行政事件訴訟法による不作為の違法確認の訴えに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 不作為の違法確認の訴えは、行政庁が、法令に基づく申請に対して、相当の期間内に申請を認める処分又は審査請求を認容する裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。

2) 不作為の違法確認の訴えが提起できる場合においては、申請を認める処分を求める申請型義務付け訴訟を単独で提起することもでき、その際には、不作為の違法確認の訴えを併合提起する必要はない。

3) 不作為の違法確認の訴えの提起があった場合において、当該申請に対して何らかの処分がなされないことによって生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、仮の義務付けの規定の準用により、仮の義務付けを申し立てることができる。

4) 不作為の違法確認の訴えは、公法上の当事者訴訟の一類型であるから、法令以外の行政内部の要綱等に基づく申請により、行政機関が申請者に対して何らかの利益を付与するか否かを決定することとしているものについても、その対象となりうる。

5) 不作為の違法確認の訴えについては、取消訴訟について規定されているような出訴期間の定めは、無効等確認の訴えや処分の差止めの訴えと同様、規定されていない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。不作為の違法確認の訴えとは、「行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟」(行政事件訴訟法3条5項)である。なお、この訴訟で認容判決が出た場合「何らかの応答」をすればよいのだから、行政庁は拒否処分をすることもあり得る点に注意。前掲塩野243頁、櫻井他326頁。

2) 誤り。「申請を認める処分を求める申請型義務付け訴訟」の単独提起の説明は正しい(3条6項2号)が、これを提起する場合は、不作為の違法確認訴訟を併合提起する必要がある(37条の3第3項1号)。

3) 誤り。このような準用はない。

4) 誤り。不作為の違法確認の訴えは抗告訴訟である(3条5項)。なお「要綱」に基づく申請が、「法令に基づく申請」と言えるかどうかについては議論がある。前掲櫻井他327−328頁参照。

5) 正しい。38条、14条1項。

■行政事件訴訟法(2014−17)【判例問題】

原告適格に関する最高裁判所の判決についての次のア)−オ)の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア) 公衆浴場法の適正配置規定は、許可を受けた業者を濫立による経営の不合理化から守ろうとする意図まで有するものとはいえず、適正な許可制度の運用によって保護せらるべき業者の営業上の利益は単なる事実上の反射的利益にとどまるから、既存業者には、他業者への営業許可に対する取消訴訟の原告適格は認められない。

イ) 森林法の保安林指定処分は、一般的公益の保護を目的とする処分であるから、保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を侵害された者であっても、解除処分に対する取消しの訴えを提起する原告適格は認められない。

ウ) 定期航空運送事業に対する規制に関する法体系は、飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするものにとどまるものであり、運送事業免許に係る路線を航行する航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受けることになる者であっても、免許取消訴訟を提起する原告適格は認められない。

エ) 自転車競技法に基づく場外車券発売施設の設置許可の処分要件として定められている位置基準は、用途の異なる建物の混在を防ぎ都市環境の秩序有る整備を図るという一般的公益を保護するにすぎないから、当該場外施設の設置・運営に伴い著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる区域に医療施設等を開設する者であっても、位置基準を根拠として当該設置許可の取消しを求める原告適格は認められない。

オ) (旧)地方鉄道法に定める料金改定の認可処分に関する規定の趣旨は、もっぱら、公共の利益を確保することにあるのであって、当該地方鉄道の利用者の個別的な権利利益を保護することにあるのではないから、通勤定期券を利用して当該鉄道で通勤する者であっても、当該認可処分によって自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に当たるということはできず、認可処分の取消しを求める原告適格は認められない。

1) 1つ

2) 2つ

3) 3つ

4) 4つ

5) 5つ

■解説

【難易度】やや難しい。

ア) 誤り。公衆浴場法の適正配置規定につき判例は、「被許可者を濫立による経営の不合理化から守ろうとする意図をも有するものであることは否定」し得ず、「適正な許可制度の運用によつて保護せらるべき業者の営業上の利益は」公衆浴場法によって保護される法的利益であるとして、既存業者にこのような原告適格を認めた(最判昭和37年1月19日)。前掲塩野135頁、櫻井他282頁。

イ) 誤り。長沼ナイキ基地訴訟(最判昭和57年9月9日)である。判例は、保安林の指定につき直接の利害関係を有する者につき「保安林の指定が違法に解除され、それによつて自己の利益を害された場合」、保安林指定解除処分取消しの訴えを提起する原告適格を有するとした。前掲塩野137頁、櫻井他283頁。

ウ) 誤り。新潟空港訴訟(最判平成1年2月17日)である。判例は、定期航空運送事業に対する規制に関する法体系について「単に飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず、飛行場周辺に居住する者が航空機の騒音によつて著しい障害を受けないという利益をこれら個々人の個別的利益としても保護すべきとする趣旨を含む」ものであり、「運送事業免許に係る路線を航行する航空機の騒音によつて社会通念上著しい障害を受けることとなる者は」、当該免許の取消しにつき法律上の利益を有し、その取消訴訟における原告適格を有する、としている。前掲塩野133頁以下。

エ) 誤り。肢に言う、「位置基準」を根拠とした場外車券発売施設の設置許可処分についての原告適格の有無が争われた事案である(最判平成21年10月15日)。判例は、場外車券販売施設周辺に存在する「医療施設等の利用者」については原告適格を否定したが、「当該場外施設の設置、運営に伴い著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる区域に医療施設等を開設する者」については、原告適格を肯定した。前掲塩野148頁、櫻井他290頁。

オ) 正しい。近鉄特急事件(最判平成1年4月13日)である。前掲塩野145頁、櫻井他285頁。

よって正解は1)の1つとなろう。

■行政事件訴訟法(2014−18)【判例問題】

狭義の訴えの利益に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 都市計画法に基づく開発許可の取消しを求める利益は、開発行為に関する工事の完了によっても失われない。

2) 市立保育所の廃止条例の制定行為の取消しを求める利益は、原告らに係る保育の実施期間がすべて満了したとしても失われない。

3) 公文書の非公開決定の取消しを求める利益は、当該公文書が裁判所に書証として提出された場合でも失われない。

4) 土地収用法による明渡裁決の取消しを求める利益は、明渡しに関わる代執行の完了によっても失われない。

5) 衆議院議員選挙を無効とすることを求める利益は、その後に衆議院が解散され、当該選挙の効力が将来に向かって失われたときでも失われない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。都市計画法に基づく開発許可の取消しを求める利益は、開発行為に関する工事の完了後は、訴えの利益を喪失するというのが判例である(最判平成11年10月26日)。前掲塩野150頁。

2) 誤り。判例は、本件条例の制定行為は行政処分にあたるとしつつ、原告らに係る保育の実施期間がすべて満了している場合は、制定行為の取消しを求める訴えの利益は喪失するとした。(最判平成21年11月26日)。前掲塩野111頁。

3) 正しい。最判平成14年2月28日である。前掲櫻井他292頁。

4) 誤り。この場合、代執行の完了.によりで当該取消しを求める利益は失われるというのが判例である(最判昭和48年3月6日)。前掲塩野150頁。

5) 誤り。衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴訟は、衆議院の解散により、その訴えの利益を喪失するというのが判例である(最判平成17年9月27日)。