■2014年行政書士試験・法令記述式問題

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■行政法、地方自治法(2014−44)【条文知識問題】

A市は、同市内に市民会館を設置しているが、その運営は民間事業者である株式会社Bに委ねられており、利用者の申請に対する利用の許可なども、Bによってなされている。住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼び、また、その設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関によりどのような形式で決定されるか。さらに、同法によれば、その運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか。40字程度で記述しなさい。

■解説

【難易度】やや難しい。行政法ではあるが意表を突く地方自治法からの出題であった分、解答に困難を覚えたかもしれない。

1) 「住民の福利−中略−設置される市民会館など」。「公の施設」(地方自治法244条1項)のことを指す。公の施設は、公物法上の公共用物(公衆の用に供されるもの)に対応するものが多く、具体的には地方公共団体が設置する、道路、公園、文化会館、学校、病院等が例としてあげられる。

2) 「どの機関−中略−形式で決定されるか」。公の施設の設置管理に関する事項は条例でこれを定める(244条の2第1項。条例主義)。本問では、はA市議会がこれを定めることになる。

3) 「Bのような団体」。「指定管理者」(地方自治法244条の2第3項)のことを指す。元々公の施設管理の委託は、公共団体(他の公共団体)や公共的団体に対してのみ認められていたが、現在は本問にあるように株式会社といった民間企業に委託することも可能である。

解答としては次のようになろうか。
「公の施設と呼び、設置に関する事項はA市議会が条例で定める。そしてBは指定管理者と呼ばれる。」(45文字)

本問については、塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)172−173、283頁参照。

■民法、詐害行為取消権(2014−45)【判例問題】

Aは複数の債権者から債務を負っていたところ、債権者の一人で懇意にしているBと相談の上、Bに優先的な満足を得させる意図で、A所有の唯一の財産である甲土地を、代物弁済としてBに譲渡した。その後、Bは同土地を、上記事情を知らないCに時価で売却し、順次、移転登記がなされた。この場合において、Aの他の債権者Xは、自己の債権を保全するために、どのような権利に基づき、誰を相手として、どのような対応をとればよいか。判例の立場を踏まえて40字程度で記述しなさい。

■解説

【難易度】普通。

1) 「Bに優先的な満足−中略−代物弁済としてBに譲渡」。本問では「詐害行為取消権」(424条)が問題になる。多くの判例は、債権者による弁済の強要といった場合を除き(最判昭和45年11月19日)、代物弁済の詐害行為性を肯定する(大判昭和16年2月10日。相当代価での代物弁済も同様〔大判大正8年7月11日〕)。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)109−110頁。

2) 「上記事情を知らないCに時価で売却」。詐害行為取消権の理解については、「誰に何を請求するか」をめぐる対立がある。判例(大連判明治44年3月24日)はこの点につき、「受益者又は転得者」を相手に詐害行為取消権を行使すべきとしている。

本問では、転得者CはAB間の事情を知らないのであるから(424条1項但書)、受益者Bを詐害行為取消権の相手とする。前掲野村他101頁以下、内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)287頁以下。

3) 「どのような対応をとればよいか」。「何を請求するか」の問題である。前記大連判判決は、詐害行為取消権を「債務者のした詐害行為を取り消すこと」と「それにより債務者の責任財産から逸出した財産の取戻し」と考えているが(前掲野村他102頁、内田288頁)、甲土地はBの物ではなく、かつCはABの事情を知らないのであるから、Xは甲土地の取戻しを請求できない。

本問ような「受益者悪意、転得者善意の場合」は、代物弁済を取り消し、受益者に対し目的物に代わる価格賠償を裁判(424条1項本文参照)で請求することになる。前掲内田285頁。

解答としては次のようになろうか。
「Xは詐害行為取消権に基づきBに対し、代物弁済を取り消し価格賠償を求める裁判上の請求をする。」(45文字)

■民法、他人物売買(2014−46)

Xは、甲土地をYに対して売却する契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Xは、本件契約時において、売却した甲土地はAが所有するものであってXに属しないことを知らなかった。その後、Xは、Aに対して甲土地の売却を申し入れたが、拒絶されたため、結局、その所有権を取得してYに移転することができなかった。このような場合において、善意の売主Xは、買主Yに対し、本件契約を解除する旨の意思表示をしたい。解除にあたって、本件契約時に甲土地の所有権がXに属しないことについて、Yが悪意のときは、どのようなことをし、Yが善意のときは、それに加えてどのようなことをすればよいか。「Yが悪意のときは、」および「Yが善意のときは、それに加えて、」に続けて、民法の規定を踏まえて、それぞれ10字〜20字程度で記述しなさい(「Yが悪意のときは、」および「Yが善意のときは、それに加えて、」は、記述すべき字数には含まれない)。

■解説

【難易度】普通。

1) 「甲土地はAが所有−中略−属しないことを知らなかった」。XY間で「甲土地売買契約」が結ばれたが、この甲土地は「他人物」でありかつ他人物ということにつきXが「善意」という事情がある。

2) 「甲土地の売却を申し入れた−中略−移転することができなかった」。他人物を目的物とする契約も有効であり、この場合「売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う」(560条)というのが民法の規定であり、売主Xはこの義務を履行しようとしたができなかったということになる。

3) 本問は、売主Xが上の義務を履行できず「解除権」を行使する場合の要件を(562条)、買主Yの主観的状態に応じて論ぜよということである。

解答としては次のようになろうか。
@ Yが悪意のときは、「土地の所有権を移転することができない旨をYに通知し」(24文字)
A Yが善意のときは、それに加えて、「Yに損害の賠償をする」(10文字)