■2009年行政書士試験・民法第8問(不法行為)

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■不法行為(2009−34)【判例、条文知識問題】

不法行為の成立に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 鍵が掛けられていた、他人の自転車を盗んだ者が、その自転車を運転している最中に不注意な運転により第三者に怪我を負わせてしまった場合、自転車の所有者は、第三者に対して不法行為責任を負う。

2) 責任能力を有する未成年者が不法行為をなした場合、親権者の未成年者に対して及ぼしうる影響力が限定的で、かつ親権者において未成年者が不法行為をなすことを予測し得る事情がないときには、親権者は、被害者に対して不法行為責任を負わない。

3) 飲食店の店員が出前に自動車で行く途中で他の自動車の運転手と口論となり、ついには同人に暴力行為を働いてしまった場合には、事業の執行につき加えた損害に該当せず、店員の使用者は、使用者責任を負わない。

4) 請負人がその仕事について第三者に損害を与えてしまった場合、注文者と請負人の間には使用関係が認められるので、注文者は、原則として第三者に対して使用者責任を負う。

5) 借家の塀が倒れて通行人が怪我をした場合、塀の占有者である借家人は通行人に対して無過失責任を負うが、塀を直接占有していない所有者が責任を負うことはない。

■解説

【難易度】やや難。1)、4)、5)については正誤判断が容易であったと思うが、残り2つの正誤判断で悩む方が多かったように思う。

1) 誤り。民法上、不法行為当事者以外の第三者が、その不法行為に付き責任を負う場合は例外的にあるが(715条等)、本肢の場合に適用できる例外的条文はないし、所有者に709条の過失責任を認めるべき事情も肢からは読み取れないので、所有者は第三者に不法行為責任を負わないと解するべきであろう。

2) 正しい。親の監督義務違反と、責任能力を有する未成年者の不法行為により生じた結果との間に相当因果関係が認められれば、親の損害賠償義務を認めるのが判例(最判昭和49年3月22日)であるが、青年直前の未成年者による傷害事件につき、本肢の様に述べ親の損害賠償義務を否定した判例(最判平成18年2月24日)もある。

3) 誤り。この場合使用者責任を認めるのが判例(最判昭和46年6月22日)である。

4) 誤り。716条本文は、「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない」と規定する。請負人は、注文者に対し自主性、独立性を有し、注文者との間で使用関係に立たないからである。内田貴『民法U』初版(1997年、東大出版会)443頁。

5) 誤り。土地工作物の責任であるが、土地工作物の占有者は無過失責任を負うのではなく、「損害の発生を防止するのに必要な注意をした」事を証明すれば責任を免れることができる(中間責任)。一方所有者は、占有者が責任を免れた場合無過失責任を負う(717条1項)。