■2009年行政書士試験・民法第6問(債権)

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■有益費、費用償還(2009−32)【判例、条文知識問題】

他人の財産に対する費用の支出とその償還請求に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア) A・B間の家屋売買契約が解除されても、買主Aは解除前に支出した共益費の償還を受けるまで家屋を留置することができるが、Aは、留置中にこれを使用することにより、法律上の原因なく利得することとなるから、その利得を不当利得として返還する義務がある。

イ) Aは、Bに対して自己が所有する士地を売り渡したが、この売買契約と同時に買戻しの特約をしていた場合において、Aが買戻権を行使したときは、この売買契約成立後Aが買戻権を行使するまでにBがその土地につき必要費を支出していたとしても、Bは、Aに対してこの費用の償還請求をすることができない。

ウ) Aは、Bから建物を賃借して居住し、その間に同建物につき有益費を支出したが、その後に、B・C間で賃貸人たる地位の移転が生じた場合に、Aは、原則としてBに対しては有益費の償還を請求することができない。

エ) Aは、Bに対して自己が所有する建物を賃貸していたが、Bが有益費を支出して同建物に増築部分を付加して同建物と一体とした場合において、後にその増築部分が隣家の火災により類焼して失われたときにも、Bは、Aに対して増築部分につき有益費の償還請求をすることができる。

オ) Aは、Bと寄託契約に基づき受寄物を保管していたが、保管事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、Bに対し、その費用および支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

1) ア)、ウ)
2) ア)、エ)
3) イ)、エ)
4) イ)、オ)
5) ウ)、オ)

■解説

【難易度】難しい。有益費といった費用償還請求についての判例問題である。過去出題されていない判例が多く取り上げられているので、難しい問題であったと思う。

ア) 正しい。債務者が給付された物を利用した場合、その使用による利益は不当利得として返還する義務が有る(大判昭和11年5月11日)。545条3項参照。古い文献で申し訳ないが、松坂佐一『民法提要債権各論』第3版(1980年、有斐閣)66頁。

イ) 誤り。買主が不動産に付き必要費、有益費を支出していた場合、買戻権者は、196条に従いこれらを償還する義務を負う(583条2項)。前掲松坂108−109頁。

ウ) 正しい。新賃貸人が有益費の償還義務者となり、旧賃貸人に償還請求はできない、とするのが判例(最判昭和46年2月19日)である。前掲松坂132頁。

エ) 誤り。有益費の支出により、生じた価格の増加が現存している場合に有益費償還請求は認められるので、この場合増築部分の有益費償還請求は消滅する、とするのが判例である(最判昭和48年7月17日)。前掲松坂132頁。

オ) 正しい。665条、650条1項。

よって正解は3)になろう。